野良猫が人に慣れ、室内生活に慣れるまでのハウツー

野良猫の暮らしは過酷です・・

ご飯や飲水にありつけることは難しく、事故・感染症・ケガ・虐待、異常気象による極寒酷暑や大型台風の襲来で、野良猫として生きづらい環境に人間がしてしまいました。

レスキューが必要な野良猫がいたら、捕獲してご自身で飼うか、新しい家族を探してあげてください。

新しい家族を見つけるまでの工程は、大きく6つのステップになります。

① 捕獲する
② 医療ケアをする
③ 保護場所を確保する
④ 日々のお世話(家猫・人馴れ修行)
⑤ 里親募集をする
⑥ 譲渡する

今回の記事では、捕獲後の「 ④日々のお世話(家猫・人馴れ修行) 」について詳しく徹底解説します。

環境の変化が苦手な猫にとって、野良猫の暮らしから室内生活への急激な変化はストレス負荷が高く、慣れるまでには時間を要します。

新しい環境や人や家猫としての生活に慣れてもらうためには、数ヶ月かけて段階的なステップを踏みながら、根気よく猫と向き合っていく必要があります。

思いもよらぬトラブルも多い時期ですので、事前に起こりそうなトラブルを把握し物理的な対策と心構えをしておきましょう。


ケージなどの準備

ケージの必要性

猫は暗くて狭い場所が安心できます。

ケージが無いとベッドやソファー下などの手が届かない場所に籠ってしまうため、猫の様子が分からず人馴れも進みません。

ケージの中にいてもらえれば、ごはんやトイレの様子をしっかり確認でき、医療ケアや通院もしやすく、人馴れのスキンシップもしやすいです。

抱っこできるほど人馴れしている猫以外は、ケージを準備しておきましょう。


こちらの記事で、ケージの必要性・選び方について詳しくまとめています。

ケージの設置場所

ケージの設置場所は、猫の性格や先住猫の有無によっても変わってきます。

臆病で環境の変化に弱い性格
 → 人の出入りが少なく静かな部屋

比較的人に慣れ、好奇心旺盛
 → 人の気配があるリビングなどの片隅(テレビの横や出入り口は避る)

先住ペットがいる
 → 隔離部屋を用意

先住ペットがいる場合は、感染症予防のためにも、検査・駆虫・ワクチンなどを終えるまでは完全に部屋を分けておきます。



こちらの記事で、 ケージの置き場所の考え方について詳しくまとめています。

ケージ内に備えるモノ

ケージ

ケージでの生活が中長期になることを想定し、猫のトイレが置け、眠って運動ができる2~3段タイプのケージがオススメです。

扉が手前に開閉するタイプは、猫が隙間をこじ開けて脱走されることがあるため、スライド開閉がオススメ。開閉の際のガッシャンガッシャン音も気になりません。

縦横に拡張できるこちらのケージは何かと便利です。

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トイレ・猫砂・給水器

トイレ・猫砂・給水器などのオススメは、こちらで詳しくご紹介しています。

保護したばかりの猫は、粒が細かい鉱物系の猫砂がオススメですが、粉塵を長年吸い込んでしまうと猫の体に良くないので、粗相の心配が無くなったら鉱物系以外の猫砂に切り替えることをオススメします。

安心して籠もれる場所

保護したばかりで特に夜鳴きをしている時期は、人がいない夜中などにストレスから何でも齧ってしまう子がいますので、ケージ内には布やダンボール製などの食いちぎられてしまう素材の一切を排除しておきます。

とはいえ、猫には籠もって落ち着ける場所が必要ですので、籠やプラスチック素材のケースや頑丈な箱を猫ベッド代わりに設置してあげます。

ケージ全体をシーツなどで覆い落ち着かせる方もおりますが、中に引きずり込んでビリビリに破いたり誤食してしまう子もいますので注意が必要です。

ケージ内から猫が手を伸ばした範囲にカーテンが触れたり、モノなども置かない無いように気をつけておきましょう。

夜鳴きが落ち着き誤食の心配が無くなったら、ふかふかの猫ベッドや爪とぎ、ハンモックなどをケージ内に設置して快適な空間に変化させていきます。

夜鳴き対策

保護したばかりの猫や、新しい環境に慣れない時期は、ほとんどの猫が夜鳴きをします。

夜鳴きをする理由は、新しい環境が不安だったり、野良時代に多くの時間を費やしていたテリトリーのパトロールができなくなったことによるストレスなど、複数の不安要素が重なってパニックに陥っています。

人間の赤ん坊以上のボリュームで夜中や日中帯もエンドレスに鳴き続ける子もいます。

夜鳴きが落ち着くまでに数日~数週間ほど続くために猫も人間も疲弊してしまいますが、新しい環境に慣れ、室内であればテリトリーに部外者が侵入する心配が無いことに気づいたタイミングで、必ず夜鳴きはおさまります。

中には数ヶ月以上夜鳴きが続く子もいますので、その場合は一度ケージから出してみて夜鳴きの変化を観察してみてください。

ご近所へのご挨拶

事前にご近所さんにご挨拶をしておきましょう。

集合住宅の場合、音は上の階に響きますので、両隣と上下の方に「猫のお世話をすることになり鳴き声や足音などでご迷惑をお掛けするかもしれませんが・・・」と事前にご挨拶をしておくことで、例えとても煩かったとしてもクレームなどには繋がりにくいです。

過去に、ご挨拶を省いたばかりにクレームになり、猫を手放すことになったケースもありましたので、「そこまでしなくても・・・」と思わず、事前にできる限りの対策をしておきましょう。

部屋の防音対策

ものすごい夜鳴きがはじまってしまった・・・という場合は、ケージの設置場所がお隣に面していたり、窓が多い部屋でしたら、音漏れが比較的気にならない部屋へ移動させてみます。

窓には、防音効果のあるカーテンやシートで音漏れ対策を。
小さな窓でしたらダンボールやクッションを利用して、手作りの防音対策も可能です。

ケージ生活スタート

ご飯をあげる時やトイレの片付けをしているすきにケージから脱出されてしまわないよう気をつけます。

触れない猫の場合、ケージに戻すのは容易ではないため扉を開ける際は慎重に。

威嚇したり凶暴な猫は、扉を開けたときに猫パンチなどをして襲ってくることもあるので、園芸用グローブなどで防御します。

通院時やケージから脱出されてしまった場合の猫の捕まえ方は、こちらに詳しく記載しています。

ご飯

2~3日はご飯を食べられないほど緊張してしまう猫は多いです。

ドライフードよりもウェットフードの方が好きな猫は多いですので、食欲が戻るまでは、ウェットフードやペーストおやつ「ちゅ~る」などをメインにして、栄養バランスよりも食べてもらうことを優先にしたご飯をあげます。

人がそばにいたりジッと見ていると猫は怖がって固まってしまいます。あまり構わずに、猫に危険が無いかを時おり確認する程度にしてそっとしてあげましょう。

夜中など人間が寝静まった時間帯に、ご飯を食べたりトイレを済ませる子が多いです。

3日間、一口も何も食べなかった場合は衰弱してしまうので動物病院へ。

3日間で、「ご飯」「おしっこ」「うんち」の3点がクリアできれば一先ず合格です。

人馴れ修行

「ご飯」「おしっこ」「うんち」 がクリアできて夜鳴きが落ち着いてきたら、おやつやオモチャを使いスキンシップ(人馴れ修行)をはじめていきます。

ケージからすぐに出してしまうと、逃げたり隠れたり容易にできてしまいますし、猫にとって気になるものが増えるため、人慣れに時間がかかってしまいます。

人に向き合うしかないケージ生活期間に、触ったりゴロゴロと甘えてくるぐらい人馴れができるとベストです。


おやつ

「ちゅ~る」などのスティックタイプのおやつは手からの距離が保てるので、人馴れしていない猫も比較的スティックから直接舐めやすいです。

怖がってしまう猫には、ケージの扉は開けずに柵の間からスティックを差し込むこともできます。

この手のおやつはスティックを絞りながら食べてもらうため、最終的には手が口元に近づき、指をペロペロ舐めてくれるようなことにもなりやすいです。

1日1本くらいの範囲で積極的におやつを使って人馴れさせていきます。

オモチャ

「オモチャで遊ぶ」という経験がない猫は、はじめのうちは反応が鈍かったり、逆に獲物と勘違いして野性的に飛びかかってくる子もいます。

猫に触れない状態でオモチャを誤食されてしまった場合、口をこじ開けてオモチャを回収することが難しいですので、「鳥の羽根」やリアルファーの「ネズミのオモチャ」、切れやすい紐や糸のオモチャは避け、安全で破壊されにくいオモチャを選びます。

遊び終わった後は、ケージ内やケージの上に置きっぱなしにせず、必ず猫の手の届かない場所に片付けましょう。

ケージ生活が長くなる場合は特に、運動不足や退屈によるストレスにならないよう、日に何度か遊ぶ時間をたっぷり作ってあげます。

猫のオモチャ

スキンシップ

猫は顔周りを触られることが大好き。

手を怖がる場合は、オモチャの棒や「伸びる孫の手」などを使った顔周りをナデナデにもチャレンジしながら、少しずつ素手でも慣らしていきます。


こちらの記事でも、「 ケージ猫の人馴れ」ついて詳しくまとめています。

先住猫との対面

先住猫がいる場合は、人間よりも先に先住猫と仲良くなってもらうぐらいの意識でやっていきます。

新入り猫にばかり時間をかけていると先住猫がヤキモチを焼き、新入り猫を嫌ってしまうことがありますので、いつも以上に先住猫との時間を設けたり可愛がるように気をつけておきます。

匂いの交換

感染症対策で先住猫とは完全隔離している状態ですが、猫同士は別の空間に猫がいることを匂いや気配で察知しているはずです。

猫は嗅覚を頼りに相手の情報を仕入れ判断しているので、新入り猫が落ち着いてきた比較的早い段階で、お互いの匂いがついている愛用品(爪とぎなど)を交換し、「こういう猫が隣の空間にいるよ」ということを対面前から知らせておきます。

ケージ越しの対面

新入り猫の体についているノミ・ダニなどの外部寄生虫が完全に落ち、くしゃみなどの猫風邪が完治したら、ケージ越しに先住猫と対面をさせてみます。

どちらかが酷く怯えたりケージ越しに激しい猫パンチをするようなら対面を中断し、翌日にまたトライします。

毎日繰り返しているうちに少しずつ慣れてきますので、ケージを境にオモチャを使って遊んだり、おやつタイムを設けたりして、相手の猫と「楽しい記憶」を結びつけていきます。

一部重複する点もありますが、こちらのブログでも詳しく解説しています。

ケージからフリーにする

タイミング

ある程度人馴れが進み、ケージからフリーにしても隠れたり逃げたりしないんじゃないかな?という頃になったら、ケージから出すタイミングです。

医療ケアが全て済んでいない場合は、ケージにいた方が捕まえやすいので、初期に必要な医療ケアが一通り済んだ頃合いも見計らいます。

先住猫がいる場合は、ケージ越しにオモチャで遊んでいるときに扉を開けてみるのも手です。

スペースも時間も徐々に増やす

ケージが置いてある部屋を締め切り、狭いスペースから慣れてもらいます。

ケージから出ても怖がってすぐケージに戻るようなら、一旦扉を閉めて翌日またトライします。毎日繰り返しながらフリーにする時間を少しずつ増やしていきます。

好奇心旺盛な性格の場合は、一度フリーにしたらケージに戻らないことが多いですが、ケージ内でご飯を食べる習慣はそのままにしておくことで、通院時などはケージ内にいてもらうことができます。

一部屋に慣れたら、新たなスペースに慣れてもうら・・・を繰り返し、最終的に家全体に慣れてもらいます。

危険なモノを片付ける

猫をフリーにする空間は、事前に危険な物を片付けておきます。

人間の赤ちゃんと同じように何でも舐めたり口にすることや、人間の身長ぐらいの高さへジャンプできることを想像しながら、猫目線で対策をしていきます。

・家具の転倒防止
・高い場所にある重たいものなどを下へ移動
・観葉植物・香水・アロマなど猫に有毒なモノを撤去
・紐状のものや小さな雑貨など、誤飲の可能性のあるモノをしまう
・コードのイタズラ防止に配線BOXや配線カバーなどを使う
・玄関と窓の脱走防止対策
・ガスコンロのロックをする(ジャンプした際に後ろ足を引っ掛けて点火してしまうことがあります)
・包丁などシンクに出しっぱなしにせずすぐに洗ってしまう


家の中には猫に危険なモノで溢れていることが学べる、オススメの書籍です。

窓の脱走防止対策は、こちらの記事も参考にしてみてください。

完全にフリーになった後のケージ

完全にフリーになっても、ケージは便利に使えます。

ケージが猫にとって安心できる場所になれば、お昼寝をしたり、キャットタワーのように使うこともできますし、病院嫌いな猫もケージにいるときであれば比較的捕まえやすいです。

大地震などで猫がパニックになったときも、ケージに逃げる習慣があれば、どこかに隠れられてしまって停電で何も見えないなか猫が見つからずに不安になることもありません。

フリー後の便利なケージの使い方については、以下で詳しく解説しています。

ケージフリー後の人馴れ修行

ケージ内では逃げ場が無かったから触らせてくれた猫も、ケージからフリーになった途端、触れなくなることも・・・

威嚇したり怖がるからと、猫に配慮してスキンシップを遠慮してしまうと永遠に人馴れが進みませんので、猫にとってのチャレンジポイントを適度に設け、許容範囲を少しずつ広げていってあげます。

オモチャに反応しない子には、いろんな種類のオモチャを試してみてください。

ケージ内ではできなかったアクロバティックな遊び方もできますので、人間が足を投げ出すように床に座り、オモチャを追いかけてつい膝の上に乗っちゃった!状況を繰り返していくうちに、「人間=楽しい」に少しずつ変化していきます。

最後に

猫が新しい環境に慣れるまでは、思いもよらぬトラブルが発生しがちです。

人馴れする前にケージからフリーにしなければならないこともあるため、家庭内野良のようになってしまうことも・・・

オンラインで猫の様子を見せていただきながらの個別相談も承っていますので、お困りの方はご利用ください。