【野良猫を保護】保護猫の里親募集・家族の探し方を徹底解説


猫の里親募集はどんなことに気をつけたらいいのか、はじめての方でも分かるよう詳しく解説します。



どんなお家向きか?

どんな家にお迎えしてもらえたら猫が幸せに暮らせるか?は、性格や年令によって変わってきます。

里親募集をはじめる前に、以下を参考に考えてみましょう。

● 人間が大好きで甘えん坊
 → 一人っ子/お留守番が少ない/家族が多い

● ベタベタされることを好まず一人の時間を大切にする
 → 小さなお子さんがいない/家族が少ない/自宅が広い

● 猫が大好き
 → 猫好きな性格の先住猫がいる

● 子猫
 → お留守番が少ない/高齢者だけのお家は避ける/先住猫がシニアは避ける(子猫パワーにシニア猫が疲れてしまいます)

● シニア猫
 → 高齢者世帯も候補に

譲渡ポリシー

子猫の里親募集では、生後2ヶ月を過ぎてからトライアル(猫のお届け)をするようにします。

子猫の社会化期は、脳発達や性格に影響を及ぼす大切な時期。できれば生後3ヶ月くらいまでは親・兄妹猫と一緒に過ごさせてあげましょう。

譲渡ポリシーを準備

里親募集をする際に、譲渡ポリシーを開示しておくことで、里親希望者が判断しやすく、やりとりもスムーズになります。

以下を参考にしながら、ご自身の譲渡ポリシーを作ってみてください。



◆譲渡条件
✔ 以下の方への譲渡はご遠慮いただいております。
 未成年・学生の方/ご高齢の方/出産予定・乳幼児がいらっしゃるご家庭/男性お一人暮らし
✔ 終生飼養をお約束していただけること
✔ 猫の飼育可能な住宅にお住まいで、人と猫が快適に生活できる環境であること
✔ 人と猫が充分に生活できる安定した収入や経済力があること
✔ 完全室内飼育を守り、脱走防止に細心の注意を払っていただけること
✔ 先住猫がいる場合は原則不妊手術済みであること
✔ 気軽なトライアルではないこと
✔ キャパを超えて飼育数を増やそうとしないこと
✔ 譲渡した猫の様子を定期的にご報告いただけること

◆譲渡の流れ
 ①お申し込み
 ②ビデオ面会(お部屋の様子なども確認させていただく)
 ③猫への面会(身分証・名刺などをお互いに開示)
 ④トライアル(ご自宅に猫をお届け/トライアル契約書)
 ⑤譲渡(譲渡契約書)

◆譲渡費
 保護からこれまでにかかった猫の医療費(の一部)をご負担ください
 ※内訳と金額を記載します
 ※おおよそ2~5万円が一般的です

AHAHAの譲渡ポリシーには、各項目の理由も併せて載せているので必要な方はご確認ください。

里親の探し方

身近な人に声掛け

まずは、友人・親戚・ご近所さん・職場など、猫を飼いたい人がいないか尋ねてみましょう。

その際、「猫を飼いたい人がいたら教えて」とお伝えしておくことで、後日良いご縁が舞い込みやすくなります。

チラシを近隣に掲示(町内会・回覧板・掲示板なども活用)

里親募集用チラシを作成し、近隣のお店に掲示をお願いしてみます。

動物病院以外にも、美容院や八百屋さんなどの個人店から、 スーパーやコンビニなどのチェーン店まで、協力してくださるお店は意外に多いものです。

特に動物病院は里親が見つかりやすいですので、エリアを少しずつ広げながら巡ってみましょう。

また、町内会・回覧板・掲示板なども積極的に活用してみてください。

チラシに入れる内容
✔ 猫の画像(ブレてない明るい画像/特徴が写っている)
✔ プロフィール(性別・年齢・柄・持病など)
✔ 性格、どんなお家向きか
✔ 問い合わせ先
✔ QRコード(猫の直近の様子が分かる、SNS・ブログ・里親募集サイトへ誘導)

里親募集サイトの募集ページから、QRコード付きチラシが自動で作れる機能もあります。

「ネコジルシ」
「hugu」

里親募集サイト

里親募集サイトには、猫を探している人が日々たくさん訪れるので、できるだけ複数の里親募集サイトを活用しましょう。

サイトごとに規約が異なりその内容も随時変わるため、詳しくは各サイトでご確認ください。

ペットのおうち
 譲渡費請求:一般会員NG、保護活動者OK(資格:活動サイトが更新されているか)

ネコジルシ
 医療費の請求OK
 QRコード付きチラシ自動生成あり

いつでも里親募集中
 譲渡費請求OK

hugu(ハグー)
譲渡費請求:一般会員NG、保護活動者OK(資格:継続的な活動の証明)
 QRコード付きチラシ自動生成あり

ジモティー
 医療費請求OK

投稿する際に、意識しておきたい点をまとめました。

◆写真・動画
✔ 最大数まで投稿
✔ ブレがなく自然光で撮影された画像
✔ 暗い画像は明るく加工
✔ 顔アップ・全身・尻尾など、猫の特徴を入れる
✔ 第一画像は、最も可愛く写っている全身画像
✔ 動画は、猫の可愛いシーンをダイジェストに



◆投稿内容
✔ 「保護の経緯」は詳しく(ストーリーが大事)
✔ 見た目の特徴はテキスト化 (検索対策)
  【例】長毛、ボブテイル、サビ柄
✔ 特徴を洗い出して書く(性格・遊び・食欲・健康)
✔ 粗相や夜鳴きなどのマイナス事項も(トライアル出戻りを避ける)
✔ タイトルはチャームポイントを短く詰め込む
  ✕ 13番目に保護された◯◯くん
 ◯ 抱っこ大好き甘えん坊の黒猫くん3才
✔ 先に決めておいた「譲渡ポリシー」(条件外の申込みを避ける)
✔ どんなお家向きか(理想の方から申し込みが入りやすい)

シニア猫の里親探しでは同じ年頃の猫がいるお家が相性よく暮らせますし、猫エイズ・白血病キャリア猫がいるお家も、同じキャリア猫を探していることがあります。

◆その他
・里親募集サイトにSNSのURLを貼り、直近の様子を見てもらう(「ジモティー」はリンクNG)
・投稿ページは次第に奥のページに埋もれるので、定期的にページを更新し上位表示されるようにする(「hugu」「いつでも里親募集中」はページ更新で上位表示されURLが変わらないので便利)

SNSやブログ

日頃から使っているSNSやブログにある程度フォロワーさんがいる方は、それらを使って里親募集をすることもできます。

町の譲渡会

近隣エリアで開催している譲渡会を調べ、一般の人も参加できるか問い合わせてみます。

本気度の高い人が来場しており、里親希望者さんとその場でお話しできるため、トライアル確定まで進展しやすいです。

ただ、たくさんの人が来場しケージ内をのぞき込むので、緊張でガチガチに固まってしまう猫が大半・・・。ケージの前で気に留めてくださった方には積極的に話しかけ、普段の様子をお伝えしたり動画を見せてアピールしましょう。

里親詐欺について

里親詐欺(虐待目的)は里親募集サイトや譲渡会などに紛れ込み、善人や家族を装っています。

保護活動のエキスパートでも見抜けないことがあると聞きますが、里親詐欺には共通した特徴があるので、きちんと知り防御していきましょう。

里親詐欺の特徴

✔ 無料で譲渡している猫を好む
✔ 同時に(または過去に)複数の猫に申し込みする(里親募集サイトでは履歴を確認可)
✔ トライアルを急ぐ
✔ 自宅での引き渡しを拒む
✔ 男性一人暮らし

里親詐欺対策

✔ 譲渡費はきちんといただく
✔ 譲渡までの工程は省かず慎重にすすめる
✔ 写真付き身分証(コピー)と名刺を、お互いに交換する
✔ 猫のお渡しは外では絶対にせず、自宅に届ける
✔ 知り合い以外の男性一人暮らしは避ける
✔ 少しでも不安があれば譲渡しない

わたしが経験した里親詐欺

ここからは、わたし自身が体験した里親詐欺をお伝えします。
保護活動のベテランおばあちゃんのお手伝いをはじめた頃のことです。

おばあちゃんはこれまで、お手製のポスターを近所の動物病院へ貼る方法で里親募集をしていました。

わたしがお手伝いに加わり、里親募集サイトなどを使うようになったことで応募が入るようになりましたが、サイトに潜む里親詐欺の存在には疎かったんだと思います。

男性一人暮らしのお宅へ、譲渡費をもらわず身分証を見せてもらうこともなく、猫の”なんちゃん”を譲渡したのです。

その日の深夜「彼が電話に出ない・・・」とおばあちゃんから連絡を受け、おばあちゃんの代わりにタクシーを飛ばして、数時間前に猫を届けたのマンションへ向かいました。

インターホンを鳴らすと、知らない男性が出て「はぁ~?猫!?あんた何言ってんの?」と取り合ってくれません。

すぐに警察を呼びその男性から事情を聞くと、その部屋はとある会社の事務所で、譲渡した男性はそこのスタッフだということが分かりました。

譲渡した男性の携帯電話に、その会社の代表が何度も電話を入れたけれど連絡がとれず、その晩は生きた心地がしませんでした・・・

翌日、彼はなんとバッグに猫を隠して出社をしたということで、なんちゃんを無事に返還してもらうことができました。

彼の目的は虐待ではなく、一晩中近所の神社でなんちゃんを抱いて過ごしたそうです。

新宿の大都会で首輪もない状況・・・脱走されたり事故にあうことなく、なんちゃんが無事に戻ってきたことは奇跡でした。

彼の目的が何だったのかは分かりません。
聞きたかったけど、一緒に迎えに行った保護活動者に一喝され聞くことができませんでした。

「理由なんてどうだっていい。わたしなら、絶対にあんな男に譲渡しない!」

今でも、その言葉は耳に残っています。

今ならわたしも絶対に彼には譲渡しませんが、当時のわたしは保護活動の経験がなく、悩んでいたおばあちゃんにアドバイスの一つもすることができませんでした。

おばあちゃんは周囲の保護仲間から「男性一人暮らしはやめたほうがいい」との忠告を受けていましたが、一年以上経ってやっと掴んだなんちゃんを幸せにできるチャンス!と焦っていたんだと思います。

知識をつけておばあちゃんに的確なアドバイスができていたら、なんちゃんを危険な目にあわせることは無かったかもしれない・・

この時の後悔が、今でも保護活動の発信を続けている理由の一つです。

無知や焦りによる判断ミスが、猫の命を奪うことがあります。不安に思うことがあれば、ご家族やできれば保護経験のある方に相談してくださいね。

最後に

野良猫の保護は、やり方さえ分かれば誰にでもできます。

飼い猫にするのであれば①②④、里親を探すのであれば⑤⑥が加わり、自宅で保護できない場合は③が加わります。

今回は、⑤を解説しました。

① 捕獲
② 医療ケア
③ 一時預かりを探す
④ 猫のお世話・家猫化訓練
⑤ 里親募集
⑥ 譲渡

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