【保護猫に里親申込がきたら】面会・トライアル・譲渡で気をつけるべきこと徹底解説


保護猫に里親申込がきた際の流れや、面会・トライアル・譲渡で気をつけるべきことを解説します。



①里親申込

保護猫への里親申込があったら、改めて譲渡条件と、気になる点があれば確認し、応募者の質問に答えていきます。

里親募集ページなどに「譲渡ポリシー」を掲載していても、譲渡条件を満たしていない方から応募がくることは割とあるので、改めてその点もきちんと確認しておきましょう。

譲渡ポリシーについては、こちらに詳しく記載しています。

先住猫との相性

里親希望者のお家に猫がいる場合は、相性に問題がないか確認しましょう。

猫は単独行動の動物なので、生まれたときから一緒に育った兄妹以外の猫とはトラブルになりがちで、予め避けておいた方が無難な組み合わせがあります。

シニア猫と子猫

「シニア猫」と「1~2才未満のやんちゃ盛りの猫」は、最も避けたい組み合わせ。

遊びたい盛りの猫同士であれば仲良くできても、そのパワフルさに対応できる成猫はほとんどいません。

シニアになるほど一人で過ごしたがるようになるので、子猫に纏わりつかれることで心身ともに参ってしまいます。

また、遊びたい盛りの猫にとってもシニア猫では物足りず、お互いにフラストレーションを溜めることに・・。

子猫が来たことで「元気が出て若返った」という話も聞いたことがありますが、そのようなケースは稀と思った方が良いでしょう。

「猫好きな猫」と「猫嫌いな猫」

「猫好きな猫」と「猫嫌いな猫」も、避けるべき組み合わせです。

猫と会わせたことがないからどちらなのか分からない場合は、はじめて遭遇する猫をひどく怖がったり攻撃してしまう可能性は高いので、「猫嫌いな猫」と判断すると良いでしょう。

逆に、外暮らしが長い猫は、他の猫に免疫があり、例え「猫嫌い」だったとしてもうまく距離をとって暮らせる可能性もあります。

人が大好きな甘えん坊同士

甘えん坊の猫がいる家に、同じように甘えん坊の猫がやってきた場合、飼い主の取り合いやヤキモチからの攻撃に発展することも。

どちらにも充分に甘えさせてあげられるよう分担できるご家族がいるか、スキンシップする時間が充分にあるかなど、ご家族のライフスタイルも合わせて判断します。

3頭以上

多頭飼育をしている人は多いし、保護団体などもすし詰めだったりするので、猫は多頭飼育を受け入れるものだと思ってしまいますが、猫は単独行動の動物です。

里親が見つかるまでの短期間であればなんとか耐えられても、多頭飼育や不仲のストレスを抱えたまま生涯を過ごすのは、やはり過酷です。

実際に、「3頭以上で仲間はずれを作る」というデータが出ているので、すでに多頭飼育をしているお家への譲渡は控えるようにしましょう。

無理に話を進めない

予め決めておいた譲渡ポリシーにそぐわない方や、 特に以下のような場合は、 無理にお話を進めないことも大切です。

✔ お留守番時間が長い
✔ 出張や旅行へ行く頻度が多い
✔ 乳幼児や、手加減できない小さなお子さんがいる
✔ シニア世帯
✔ 男性お一人暮らし

詳しい理由は、AHAHAの譲渡ポリシーをご確認ください。

②ビデオ面会

申込時のやりとりに問題がなければ、里親希望者とビデオ電話を繋ぎ、具体的なお話をすすめていきます。

できる限りお相手のご家族全員に参加していただき、一時預かりボランティアのお宅で猫がお世話になっている場合は、一時預りにも参加していただくようにします。

ご家族全員に説明

猫のお迎えについて、お相手のご家族全員が前向きに考えていなかったり、募集情報の詳細まで把握しているとは限りませんので、改めて説明をしておきます。

✔ 保護の経緯
✔ 猫の情報(健康状態・性格など)
✔ 譲渡ポリシー
✔ 今後の流れ
✔ 譲渡費

飼育環境を確認

ビデオ電話に室内を映してもらい、猫が安全で快適に暮らせる環境であるかを確認します。

改善が必要な箇所は、猫のお届け前までに対策をお願いし、画像や動画で確認するようにします。

✔ ケージ設置予定の部屋
✔ 玄関と窓の脱走防止対策
✔ 猫に危険なモノ(観葉植物・コード類)
✔ 出しっぱなしで危険なもの(キッチン周り・洗剤・薬品)

猫の様子を見せ質問を受ける

猫の様子をビデオ電話に映し、里親希望者の質問に応じていきます。

次のステップ(猫との面会)に進むかどうかはその場で即決せず、先方はご家族と、こちらは一時預かりや活動仲間と冷静に検討する時間を設け、後日お互いの意思を確認するようにしましょう。

③猫との面会

猫が暮らしている場所まで、里親希望者のご家族に来ていただき猫と面会をします。

「うちの猫との相性をみたいから連れて来て欲しい」と言われてもお断りするようにしましょう。なぜなら、猫同士の相性は数時間で分かるものではないからです。

多頭飼育での猫同士の対面は、猫たちの反応を見ながら何ヶ月間かかけてやっていくことになり、面談やトライアル期間で相性を判断できるものではありません。

面会にも、できるだけご家族全員に参加いただけるよう案内しておきます。

安心して猫を託せるか観察

写真付き身分証明書のコピーと名刺を、必ず交換します。

また、わずかな面会時間の中で、安心して猫を託せるかどうかを判断しなければならないので、些細な言動も注意しておくようにします。

✔ 猫への接し方や話しかけ方
✔ 猫に興奮し、話が上の空ではないか
✔ お相手からも質問があるか
✔ 楽観的すぎず、心配症すぎないか
✔ 猫のどんなところを気に入ってくれたのか
✔ 小さなお子さんがいる場合は、猫への接し方やその時の親御さんの対応

里親詐欺(虐待目的)は、善人や家族を装い、身分証も偽ります。里親詐欺対策についてはこちらをお読みください。

猫用品の準備・室内の対策

猫の愛用品を紹介しながら、トライアルまでに準備していただく猫用品をお伝えします。

✔ ケージ(2段以上)
✔ ケージの中にセットするもの(トイレ・猫砂・爪とぎ・猫ベッド)
✔ ご飯やおやつ
✔ オモチャ

ケージから出られるようになる頃には、キャットタワー・キャットウォーク・窓からの景色(見晴台)などを準備していただくようにします。

また、事前に以下のガイドを読んでいただくことで、トライアル以降のトラブルを避けていただきやすいです。





ここでもまた、次のステップ(トライアル)に進むかどうかはその場で即決せず、後日お互いの意思を確認するようにしましょう。

④トライアル

トライアルとは

保護猫の譲渡では、トライアル期間(2週間ほど)を設けるケースが多いです。

「トライアル期間」という名称的に、気軽に戻しても構わない印象がありますが、先住ペットやご家族との相性をみる期間ではないことを、改めてお伝えしておきます。

環境の変化に弱い猫が、新しい生活に慣れるまでには数週間~数ヶ月はかかりますし、先住ペットやご家族に慣れるのは更に先になることが多いです。

正式譲渡後に、先住ペットとのゆっくりな対面ステップや、ご家族との人馴れスキンシップを重ねながら、少しずつ家族の一員になれるまで寄り添っていただけるようにお伝えしましょう。

トライアル期間で猫が戻ってくるのは、何かしらの不測の事態がおき、解決策がない場合のみです。

トライアル中断となった過去のケース

トライアル期間中の不測の事態といってもイメージがつかないと思いますので、過去にトライアル中断となったケースをご紹介しておきます。

夜鳴きのクレームに対処できず・・・

猫の夜鳴きがうるさいと、ご近所から管理会社にクレームが入り、「ご近所トラブルは避けたい」とトライアルを辞退されました。

新しい環境に慣れるまでは大きな声で夜鳴きをする猫は多いため、トライアル前にご近所さんへのご挨拶をお願いしていたのですが、それを省いていたようでクレームに繋がってしまいました。

ご家族がご病気に

お一人暮らしの里親さん。トライアル中にご自身のご病気が見つかり、治療のため長期入院することに・・。泣く泣く、トライアルを中断することになりました。

お一人暮らしの方には、飼い主になにかあった際の「もしもの備え」もしていただくようにお伝えしましょう。

猫のお届け

トライアルは、週末や連休の前半にお届けするようにし、ご家族が自宅にいて猫の変化に気付けるようにしてもらいます。

猫と一緒にこれらの物を持参します。
✔ 匂いがついている愛用品(爪とぎ、猫ベッド、寝床に敷いていたタオルなど)
✔ 食べ慣れているフードや好物おやつを数日分
✔ これまで使用していた猫砂をシャベル1杯ほど(新しいトイレの猫砂に混ぜる)
✔ 仮譲渡誓約書



事前に改善をお願いしていた脱走防止対策や室内箇所を確認した後に、ケージの中へ猫を移動させるようにします。

玄関での猫の受け渡しは絶対に避け、不審に思うことがあればどのタイミングであっても、猫と一緒に帰ってくる勇気も必要です。また、お届けは一人では行かないようにしましょう 。

仮譲渡契約書

日本の法律ではペットは物扱いとなり、所有者が存在することになります。

トライアル期間中の猫の所有権は保護主側にあり、なにかあった際には猫を返還してもらえるよう法的に有効な形で契約書を交わしておきます。

仮譲渡契約書は、検索すると保護団体などのテンプレートが見つかります。トライアル期間中に気をつけていただきたい点(医療ケア・健康面・ご飯など)も、書いておきましょう。

トライアル期間中

お届け後の猫は、ご飯を食べなかったり不安から夜鳴きをしたりすることも多いです。

そんな様子を見て、里親も不安になりがちなので、LINEなどで猫の様子を日々知らせてもらい、新しい環境やご家族に猫が慣れるまで、一緒に見守っていきます。

一時預かりがいるようでしたら、LINEグループなどで一時預りからも直接アドバイスをしてもらうようにします。

予測できるトラブルや対処法は、こちらにまとめています。

夜鳴きがなかなかおさまらない、先住猫との相性が悪い、里親になかなか慣れない、などでお困りでしたら、個別アドバイスをご利用ください。

⑤正式譲渡

譲渡契約書

正式な家族として迎え入れたいとのお申し入れがあったら、譲渡契約書を交わします。

郵送でもできますが、ご自宅に伺って猫の様子も確認できると安心です。

譲渡契約書のテンプレートは、各里親募集サイトからダウンロードできます。

譲渡費

譲渡時に、猫の医療費の一部を「譲渡費」として保護主からいただくことが一般的です。(1頭につき2~3万円前後)。

気軽な気持ちでのお迎えや里親詐欺対策のためにも、遠慮せずにしっかりいただくようにします。

譲渡費の内訳は事前にお知らせし、譲渡時に証明書・検査結果・明細などをお渡します。

また、医療ケアや健康面で気をつけるべきこと、次回のワクチン接種日や健康診断のことなどもお伝えしておきましょう。

譲渡後の見守り

譲渡後も、猫の様子を定期的に知らせてもらえるようLINEなどで繋がり、猫に何かあった際や、ご家族のライフスタイルの変化やお引越し時に、知らせてもらえるようにしておきます。

最近は、SNSに飼い猫の様子をアップする方も多いので、アカウントを教えていただくのも良いでしょう。

保護主や一時預かりが、猫にとっての「実家」や「親戚」のような関係性が理想的です。

最後に

野良猫の保護は、やり方さえ分かれば誰にでもできます。

飼い猫にするのであれば①②④、里親を探すのであれば⑤⑥が加わり、自宅で保護できない場合は③が加わります。

今回は、⑥を解説しました。

① 捕獲
② 医療ケア
③ 一時預かりを探す
④ 猫のお世話・家猫化訓練
⑤ 里親募集
⑥ 譲渡

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