野良猫の里親さんの選び方~面会~トライアル~譲渡まで徹底解説

野良猫の暮らしは過酷です・・

ご飯や飲水にありつけることは難しく、事故・感染症・ケガ・虐待、異常気象による極寒酷暑や大型台風の襲来で、野良猫として生きづらい環境に人間がしてしまいました。

レスキューが必要な野良猫がいたら、捕獲してご自身で飼うか、新しい家族を探してあげてください。

新しい家族を見つけるまでの工程は、大きく6つのステップになります。

①  捕獲する
② 医療ケアをする
③ 保護場所を確保する
④ 日々のお世話(家猫・人馴れ修行)
⑤ 里親さんを探す
⑥ 譲渡する

今回の記事では、捕獲後の「⑥譲渡する 」について詳しく徹底解説します。

「助けが必要な野良猫に出会ったらシリーズ」感動のフィナーレです(T_T)

里親希望のお申し込みから猫の譲渡までの流れは、ケースバイケースではありますが、「里親募集サイトからのお申し込み」を想定し以下の流れで解説していきます。

①お申し込み
②ビデオ面会
③猫への面会
④トライアル
⑤正式譲渡



①お申し込み

里親希望のお申し込みがあったら、事前に準備していた「譲渡ポリシー」に沿って気になる点を質問したり、応募者さんの質問に答えたり、メッセージのやりとりをしていきます。

募集ページに予め「譲渡ポリシー」を掲載していれば、譲渡条件を満たした方や、ポリシーに同意された方から申し込みが入ってくるかと思いきや、そうではない方からも応募がけっこう入ってきます・・・(皆さん、あまり読んでいないんですね(^_^;))

なので、わたしの場合はですが、お申込みいただいた方から次のステップに進むのは全体の1割ほど。

譲渡ポリシーを掲載していなければ、もっと多くの方から申し込みが入り、その度に心苦しいお断りのメッセージを送ることになる上に、やりとりの時間も取られますので、譲渡ポリシーの掲載はしておくことをオススメします。

譲渡ポリシーの作り方については、こちらに詳しく記載しています。

先住猫との相性

猫は単独行動を好む動物です。

生まれたときから一緒に育った兄妹以外の猫と、一つ屋根の下平穏に暮らしていくには、「猫同士の相性」を事前に見極めることが超重要になります。

猫は自分で同居相手を選べませんので、先住猫がいるお宅へ譲渡する場合は特に、慎重に検討してあげましょう。

正式譲渡前のトライアル期間は、猫の相性をみる期間ではありませんので(詳しく後述します)、相性で不安が残る場合は無理にトライアルに踏み切るのではなく、相性が良い猫がいるお宅からお声がかかることを待つ選択も大事かと思います。

「猫同士の相性」で避けたほうが無難なケースを、以下にあげておきます。

シニア猫と子猫

「シニア猫」と「1~2才未満のやんちゃ盛りの猫」は、シニア猫が子猫パワーに疲れてしまいストレスを抱えることが多く、病気を発症してしまうこともあります。

また、遊びたい盛りの子猫にとってもシニア猫では物足りず、お互いにフラストレーションを溜めることになります。

シニア猫と暮らしている方は特に、子猫を迎えたがる傾向にあるので注意してあげてください。

中にはシニア猫が「元気が出て若返った」という子もいますが、そのようなケースは稀です。

人間が大好きな甘えん坊同士

雄猫は特に甘えん坊の傾向がありますが、飼い主の膝の上を四六時中占領していた甘えん坊な猫がいるお家に、同じように甘えん坊の猫がやってきた場合、先住猫がヤキモチを焼いてしまいます。

どちらの猫にも充分に甘えさせてあげられるよう、役割を分担できるご家族がいるか、時間的余裕があるかなど、ご家族のライフスタイルも合わせて判断していきます。

「猫好きな猫」と「猫嫌いな猫」

猫にも、猫のそばにいることを好む「猫好きな猫」と、猫にベタベタされることを好まない「猫嫌いな猫」がいます。

他の猫と会わせたことがないからどっちなのか解らず、猫との共同生活をはじめてみた中で、「猫好きな猫」と「猫嫌いな猫」だと発覚することも・・・

その場合、「猫が好きな猫」へは飼い主が代わりに相手をしてあげる時間を多く作るようにし、「猫が嫌いな猫」へは一人でいられる空間や動線をできるだけ多く作ってあげるように配慮します。

4頭以上

猫は「4頭を越えると仲間はずれを作る」という傾向にあります。

もともと単独行動を好む動物ですので、増やしすぎることにも注意が必要です。

猫愛が強い人ほど、「保護猫を助けてあげたい・・・」と増える傾向にあるので、気をつけてあげてください。

人間だって、ひとつ屋根の下4人の赤の他人と(しかも自分で選べない)、この先15年同居するなんて・・・ちょっと考えられないですもんね(笑)

無理に話を進めない

予め決めておいた譲渡ポリシーにそぐわない方や、 特に以下のような場合は、 無理にお話を進めないことも大切です。

・お留守番時間が長い
・出張や旅行へ行く頻度が多い
・乳幼児や、加減の判断ができない小さなお子さんがいる
・シニア世帯
・男性お一人暮らし

詳しい理由を知りたい方は、AHAHAの譲渡ポリシーページをご確認ください。

また、メールのやりとりの中でちょっとでも引っ掛かることがあれば、その直感を信じてお断りすることも大切かな・・・と思っています。

お断りをする際には、相手の方を気遣う気持ちを忘れずに、トラブルに発展しないよう留意します。

②ビデオ面会

zoomやLINEのビデオ電話で繋ぎ、先方のご家族とビデオ面会をします。

できる限りご家族全員に参加していただき、以下3点について確認していきます。

一時預かりボランティアさんのお宅で猫がお世話になっている場合は、一時預りさんにも参加していただくようにしましょう。

改めて説明

「猫と暮らせる!」ということで興奮状態にあり、 里親募集の内容や譲渡ポリシーをきちんと読んでいない方も多いですし、ご家族全員が内容を把握しているとは限りませんので、改めて口頭で以下について説明していきます。

・保護の経緯
・猫の情報(プロフィールや性格)
・譲渡ポリシー
・今後の流れ
・譲渡費用

過去あったケースとしては、お申込のご本人は子猫を迎え入れる気満々だったけれど、子猫の元気さや動きの俊敏さをビデオ電話で説明する中で、高齢のご両親が不安に感じ辞退される・・・ということがありました。

飼育環境を確認

ビデオ電話で先方のお部屋の様子を映してもらい、猫が暮らせる室内環境であるかを確認しつつ、対策が必要な箇所はアドバイスをしていきます。

・室内の物の多さ、散らかり具合
・玄関と窓の脱走防止対策
・ケージ設置部屋の確認
・猫に危険なモノの確認

猫の様子を見せ質問を受ける

猫の様子もビデオ電話で見てもらいながら、先方の質問にも丁寧に応えていきます。

お互いに次のステップに進むべきかの意向を、追って連絡するようにします。

③猫への面会

猫が暮らしている場所まで、先方のご家族に来ていただき猫と面会します。

面会にもできるだけご家族全員に来ていただきましょう。

お人柄を確認

里親詐欺対策として、写真付き身分証明書と名刺を、お互いに提示するようにします。


わずかな面会時間の中で、猫のこの先の長い生涯を安心して託せる方かを判断をする必要があります。

猫への接し方や話しかけた言葉のチョイスで、単なるペットと捉えているのか、大切な家族の一員として扱ってくれそうなのか、見えてくるところがあるかと思います。

猫を脅かさないようにと、近づきすぎない・物音をたてない・大きな声で喋らないなどの気遣いをしてくれているのか、猫ファーストで考えてくれているのか、注意深く見ておきましょう。

小さなお子さんがいる場合には、 ヤンチャ過ぎやしないか、執拗に猫に干渉しすぎないようにお子さんに説明や注意ができるご家族関係であるかも観察していきます。


わたしのケースをご紹介しておきます。

「この子(猫)のどこを気に入ってもらえたのですか?」との質問に、「家が近かったから」との回答があり、お断りしたことがあります。

ビデオ面会でもお子さんに同じ質問をして、猫の可愛いところをたくさんあげてくれていましたが・・・

お子さんが巣立ったら(高校生と大学生でした)、物理的な距離にしか魅力を感じなかったこのクールな親に面倒見られるのか・・と思ったら、まったく気が進まなかったのです。。。

猫用品・お部屋の対策

実際に猫が使っている愛用品を紹介しながら、トライアルまでに準備していただく猫用品を説明していきます。

・ご飯やおやつ
・トイレと猫砂
・ケージ/爪とぎ/猫ベッド/オモチャ

また、猫に危険なモノの扱い方や、脱走防止対策なども実際に見てもらいながら、具体的なアドバイスしていきましょう。

「猫をお迎えする際に揃えたいオススメの猫用品」については、こちらも参考にしてみてください。





お互いに次のステップに進むべきかの意向を、追って連絡するようにします。

④トライアル

トライアルとは

保護猫の場合、一般的には正式譲渡前にトライアル期間(2週間ほど)が設けられています。

お試し期間ではありますが、先住ペットやご家族との相性をみるような 、気軽なトライアルは避けるようにしましょう。

猫は環境の変化に弱い動物です。不安いっぱいの中、頑張って新しい環境に飛び込んだのに、「合わない・・・」と戻されてしまっては、猫だって心が傷つきます。

新しい環境に慣れるまでには、猫の性格にもよりますが一般的に数週間~数ヶ月はかかり、トライアル期間で判断できるものではありませんので、トライアル期間で猫が戻ってくるのは不測の事態が発生し解決策がない場合のみと捉えておきましょう。

トライアル中断となった過去のケース

トライアル中断となった過去のケースをご紹介しておきます。

夜鳴きのクレームに対処できず・・・

猫の夜鳴きでご近所から管理会社にクレームが入ってしまい、ご家族が「トラブルは避けたい」と諦めてしまいました。

新しい環境に慣れるまでは大きな声で夜鳴きをする猫は多いため、トライアル前にご近所さんへのご挨拶をお願いしていたのですが、それを省いていたようでクレームに繋がってしまいました。

ご家族がご病気に

トライアル中に、お一人暮らしの飼い主からご病気が見つかり、治療のため長期入院することになりました。

この先の猫の幸せを考えた末、トライアルを中断することに。

お一人暮らしの場合は、飼い主になにかあった際の後継人のことも考えていただく必要があるかと思います。

猫のお届け

トライアルは、ご家族が比較的自宅にいれる期間を選ぶようにします。

週末や連休の前半にお届けができるとベストです。

玄関での受け渡しでは済ませず、必ず室内にお邪魔して猫に危険な場所がないか、脱走防止対策やケージの設置場所なども確認させてもらいます。

以下の物を持参しましょう。

・これまで使用していた猫砂少々
 新しいトイレの猫砂に混ぜるとトイレと認識してくれます
・食べ慣れているフード2-3日分
 急に変えるとお腹をこわしますので少しずつ切り替えます
・匂いがついている愛用品
 慣れない環境でのストレスから異食してしまう恐れも。布モノは避け、爪とぎなどの破壊されない物がベスト
・仮譲渡契約書


お届けの際に不審に思うことがあればトライアルを中断して、猫と一緒に帰ってくる勇気も必要です(できれば一人ではお届けに行かない) 。

猫を守ることができるのは、あなただけです。

仮譲渡契約書

日本の法律ではペットは物扱いとなり、所有者が存在することになります。

正式譲渡の際には、猫の所有権が「保護主」から「飼い主」に変わりますし、トライアル期間中の猫の所有権は保護主側にあり、猫になにかあった際には返還してもらう必要がありますので、法的に有効な形で契約書を交わしておきます。

書面で2部用意し、お互いに署名・捺印をしたら一部ずつ双方で保管しておくようにしましょう。

仮譲渡契約書の書き方は、検索すると保護団体などの雛形が見つかりますので参考にしてみてください。

トライアル期間中

慣れない環境下で猫はいつもと様子が変わり、ご飯を食べなかったり不安から夜鳴きをしたりすることも多いですので、LINEなどで毎日猫の様子を知らせてもらい、適切なアドバイスをするようにします。

新しい環境化での猫の反応は、保護した時とだいたい同じですので、一時預かりさんがいるようでしたら、LINEグループを作り、一時預りさんからアドバイスをしてもらうようにしましょう。

このようなサポートを怠ると、ご家族が独断で誤った対処を行い状況を悪化させてしまったり、「家では不満なのかな・・・」「家では幸せになれないのかも・・・」とどんどん悪い方へ考えトライアル中断となりかねませんので、猫が完全に慣れるまではご家族の不安に寄り添い伴走してあげてください。

新しい環境に慣れてもらうには少しずつのステップが大事になり、保護時とほぼ同じですので、以下についてはリンク記事をご確認ください。

・ケージからはじめる
・夜鳴き対策
・先住猫との対面ステップ
・ケージからフリーにするステップ

⑤正式譲渡

譲渡契約書

猫が新しい環境に少し慣れ、正式な家族として迎え入れたいとご家族から連絡が入ったら、 仮譲渡契約書と同様「譲渡契約書」を交わします。

書面のお渡しは、郵送でも構わないと思います。

書面の文面については、里親募集サイトなどからも雛形をダウンロード可能です。

譲渡費

保護猫の譲渡の場合には、保護時の医療費を譲渡費というかたちで保護主さんからいただくケースが多いです(1頭につき2~3万円前後)。

譲渡費をいただく場合には、必ず事前にお知らせをしておきトラブルにならないようにしましょう。

譲渡契約書を郵送する場合には、先に譲渡費をお振込みしてもらい、 ワクチン証明書・ウィルス検査証明書・血液検査結果などは譲渡契約書と一緒に郵送するようにします。

譲渡後の見守り

譲渡したら終わり・・・ではなく、先方のご家族と時おり連絡をとりながら、猫の様子を把握できるようにしておきましょう。

最近は、InstagramなどのSNSに飼い猫の様子をアップする方も多いですので、アカウントを教えていただき日頃から見守れると安心です。

猫の疾病時やトラブル時にアドバイスしたり、飼い主さんにもしものことがあった場合には猫を守ってあげられる関係性を築いていきましょう。

例え一時でも、保護主さんや一時預かりさんにとっても、猫とは家族同然だったはず。

この先も、猫にとっての「実家」や「親戚」のような関係でいたいですね。

最後に

猫のオンライン相談を受けております。

里親募集や譲渡でお困りのことや判断に迷うときには、ぜひご活用いただけたらと思います。