
猫と暮らしている方は、「室内猫は幸せなのかな?」と考えてみたことが一度はあるかと思います。
「自由で危険な野良猫」と、「安全で退屈(になりがち)な室内猫」。
野良猫の「危険」を取り除いてあげることはできないけれど、猫本来の習性を発揮できる室内環境を整え「安全で充実した室内猫」にしてあげることはできるので、幸せな室内猫にするためにできることから一緒にはじめていきましょう!
今回のテーマは、窓辺にキャットウォークを手作りDIYです。
目次
なぜ窓辺にキャットウォークが必要?
高い場所が好きなだけじゃない
猫は、立体的に空間を捉えています。
人間は、床面積ばかりに意識がいきがちですが、高い場所が得意な猫はそこにスペースさえあれば壁も天井も自分の領域となり、いろんな角度からの「見える景色」が増えるほど、その空間を広く感じられ刺激も増えます。
また、野生の猫は高い場所に隠れ身の安全を守っていたので、部屋全体が見渡せたり家族の様子が観察できる高い居場所があることで、怖がり猫の安全な居場所(ホーム)にもなります。
多頭飼育の場合は、単独行動を好む猫たちそれぞれのパーソナルスペースや、不仲猫の衝突を避けるための迂回ルートとして、床以外の高い場所は多めに用意してあげたいものです
そう言った視点でわが家を見渡してみると、キャットタワーはあるものの、猫がテクテク歩けるような高い場所がまったく無い・・・
ということで、キャットウォークDIYにトライしてみることにしました。
猫にとって窓はエンタメ
家中にキャットウィークを巡らせることはハードル高めなので、まずは一箇所から設置してみることに。
であれば、外の景色が見える窓際がいいな!
「猫にとって窓はテレビ」と言われるほど室内猫にとって窓は、外の世界と繋がれる唯一の接点であり、家族が留守時のエンタメでもあるので、景色を見たり外の空気を嗅いだり日向ぼっこもできる、そんなキャットウォークを窓際に作ることにしました。
キャットウォークの設置場所を決める
わが家は賃貸物件なので、壁や天井に穴を開けずにキャットウォークを設置できるラブリコ( LABRICO )を使うことにしました。
ラブリコと似た商品に「ディアウォール」がありますが、ディアウォールはバネ式なので長さ調整ができません。
アジャスター式で18mmの長さ調整ができるラブリコの方が、引っ越し先でも何かと応用できそうなので、ラブリコにしました。
ラブリコ( LABRICO )とは
ところでラブリコとは、 柱となる2×4 木材の上下に固定するDIYパーツのこと。
床と天井で柱を突っ張ることができるので、簡単に棚などを自作することができます。
SPF材とも呼ばれる 2×4は、軽くて柔らかいのが特徴。
湿気に弱いのが弱点だけど、室内で使うし何十年と使い続けるものではないから、扱いやすい軽量さを重視しました。
ラブリコを設置する場所が重要
ラブリコは、床と天井に柱を突っ張って棚などの重みを支えるので、下地や梁がある場所に柱を設置する必要があります。
下地がない石膏ボードだけの場所に設置してしまうと、天井に穴が空いたり、地震で柱ごと倒れる危険性もあるので注意が必要です。
下から天井を眺めてもそこに下地や梁があるのか分からないで、コンコンとノックしてみて音で判断するか、下地探しのグッズが便利です。
わが家はどちらも持っているけれど、一つで充分判別できます。
窓枠に設置決定
2×4 材はホームセンターで購入できるけど、車がないと持ち帰りに不便なので、オンラインショップで探すことにしました。
しかし、天井までの2mを越える長さの木材を個人宅まで発送してくれるショップが少なかったのと、わたし自身もこの先引っ越しの度にやたら長い柱を何本も持ち運ぶのは気が引けるので、ひとまわり短くてすむ160cmほどの窓枠にラブリコを設置することにしました。
ベランダに面している窓だけれど、人間がベランダに出ることはほとんどないので問題なし(笑)

キャットウォークの耐荷重
猫の最大重量を算出
まず、猫の最大重量を算出していきます。
キャットウォークに猫が飛び乗った場合、体重の5倍の荷重がかかるのだそう。(①)
多頭飼育の場合は、全頭が一斉に乗った合計も出しておきます。(②)
①と②を比較し、重い方が最大重量です。(③)
わが家の場合は、うちの子2頭(4Kg/5kg)にプラスして、一時預かりボランティアでお世話する保護猫を仮に6Kgと仮定すると
① 6Kg ×5=30Kg
② 4Kg+5Kg+6Kg=15 Kg
③ ①の方が重いので30Kg
わが家の猫の最大重量は30Kgとなりました。
けっこう重いね・・・
ラブリコの重量制限
ラブリコの重量制限を確認していきます。
・「縦板重量制限」は柱1本あたり20 Kg
・「横板重量制限」は棚板1枚あたり30 Kg
また、棚板の長さは120cmまで、段数は4段までと規定されています。
わが家の場合、窓幅が160cmほどあるので3本の縦板が必要になります。
また、わが家の猫の最大重量は30Kgなので、縦板(2本で支える)・棚板ともにラブリコの重量制限でおさまる計算です。
棚板の選び方
棚板の奥行きや厚み、材質はどんなものを選ぶと良いのかまとめました。
・猫が落下しない安全な奥行きは20cm以上
・猫がすれ違ったり横になるには30cmの奥行きが必要
・ゆったり寝るには40cmの奥行きが必要
・棚板の厚みは1.2cm以上
・MDF材は不向き(ネジ閉まらない、水に弱い)
・スケルトン素材は危険(滑りやすい、足の踏み場を勘違いした落下事故多い)
・合板かスギがオススメ(軽くトゲ状にならない)
わが家は、猫がすれ違えて、かつ横になってくつろげるように30cmほど奥行きが欲しいなということで、奥行き28cmで厚み1.9cmある「1×12材」を選ぶことにしました。
棚板の長さ・奥行き・厚みを入力すると、耐荷重を算出してくれるツールがありました。安全マージンをとっているとのことで厳しめな結果が出てきますので、より安全に設置したい方は参考にしてみてください。
必要な材料
キャットウォークをDIYするにあたり、必要な材料を確認していきます。
わが家のケースでは棚板が2枚必要になるので、2枚の高さを少しずらした高さ調整ができるよう、棚受けはコンビニの棚などにも使われている「棚柱」というものを設置することにしました。
・2×4 材(縦板)×3本
・ラブリコ×3セット
・1×12材(棚板)×2本
・棚柱×3本、棚受け×4本
縦板・棚板・ラブリコ
必要な材料が決まったので楽天でレビューを確認しつつ、送料もバカ高くないショップ 「okamoku」 で購入することに。
白に塗装済みの 2×4 材 と、1×12材 は無塗装を選びました。
わが家にのこぎりなど無いので、ミリ単位で無料カットしてもらえる点も重要。
設置したい場所の床から天井の高さを測定して、95mm短い寸法で切断を依頼し、ラブリコも「okamoku」で一緒に購入!
棚柱・棚受け
棚柱は、いろんなメーカーからいろんな種類が出ていたけれど、縦板の白塗装に馴染む白で、長すぎない30cmほどのものを探したところ、「和気」一択となりました。
ちなみに、棚受けの長さは棚板奥行きの60%以上必要だそう。
保護塗料
棚板は無塗装の 1×12材を 購入したので、耐久性を良くするためにも保護塗料を塗ります。
棚板は、猫たちがダイレクトに歩いたり横になったりする場所なので、猫に安全な自然塗料を選ぶことに。
これもいろいろあって悩むんだけど、わが家は「 無臭柿渋 」を購入してみました。
柿だったり植物油だったり米ぬかだったりと、いろんな原料の自然塗料があったので、参考までにリンク貼っておきますね ↓
キャットウォークを作るための材料費総額は18,000円ほどとなりましたが、ホームセンターで調達できる方はもっとお安くできると思います!
キャットウォークをDIY
届いた材料はこちらです。

棚板に保護塗装
まず、棚板にサンドペーパー(#180~400がオススメ)をかけ、表面の汚れを取り平らにしつつ、角は猫が危なくないよう面取りをしていきます。

「無臭柿渋」を2倍で希釈し、一度塗りしました。
原料が柿だからか(?)オレンジピンクのような色がうっすら付きます。重ね塗りするごとに色が濃くなるので、一度塗りでストップしました。


縦板にラブリコを設置
白塗装済みの2×4材の方も、木目がうっすら見えるナチュラルな薄付き加減で届きました。
ラブリコを 2×4材の上下にハメていきます。



縦板に棚柱を設置
縦板の上の方に、棚柱を取り付けていきます。
縦板三本とも同じ位置に取り付けないと、棚板が斜めになってしまうので印をつけて慎重に。


縦板を窓枠に設置
縦板はこれで完成なので、窓枠の両側と中央に立てていきます。

縦板に棚受けを設置
棚板に取り付ける棚受けは1ミリでもズレてしまうと、棚柱に引っ掛けられなくなってしまうので、棚柱に棚受けと棚板を仮置きした状態でネジ止めしました。

じゃーーーーん!
完成しました!!!

日光が遮られたり、圧迫感出たらどうしよう・・・との事前の心配はどこへやら。
窓の開放感が失われない状態でキャットウォークを設置することができました!
家具などをつたって部屋の中をぐるりとできるような動線を意識しつつ、キャットタワーの位置なども若干調整。
導線づくりはこちらも参考にしてね!
早速、好奇心旺盛なダッシュくんがキャットウォークをウォークしてくれました!

一般的に猫は、新しいモノを受け入れるのに時間がかかるので、すぐに使ってくれなくてもガッカリせずに気長に待ってみてください。
臭いが部屋に馴染んだり、危険がないことが分かったり、季節が変わることで今まで見向きもされなかったモノが突如使われたりお気に入りになることはよくあります。
オモチャやおやつで誘導してみるのも手です。


カーテンを閉めると、棚板のぶん手前にバーンっとなったり、丈が短くなる問題については、もう開放的に夜もカーテン開けっ放しにすることにしました。
冬場はカーテン閉めないと冷風が入ってくるので、カーテンのアジャスターを最長にして閉めれば、わが家はなんとかなりそうな気がしています。
あまりに不格好だったら、夜は棚板を外せばいいかな!と。
いかがでしたでしょうか。
わたしは、ずーーーーっとキャットウォークを設置したいなぁ~と熱い想いを抱きつつ、設置までに1年かかってしまいました。
ラブリコ以外に賃貸でもつけられる何かいい方法は無いかな・・・とか、ラブリコ圧迫感ないかな・・・とか、耐荷重とか、個人宅で発送してくれるショップとか、調べることが山のようにあったからです。
なので、わたしが調べたことは全部ここに書き記しておきましたので、参考にしてもらいつつぜひDIYチャレンジしてみてください。
本数冊とネットを参考にしましたが、一番参考にさせてもらった本はこちらです。
ちなみに、ラブリコ以外には「壁美人」というのが、賃貸でも使えそうであります。
最大耐荷重が24Kgなので、複数の壁美人で支えるような形でできそうな気がします。
うちの猫たちは中年期に突入したので、これ以上増やすかどうかは今回つけたキャットウォークの使用頻度で検討したいと思います。
そうそう、ラブリコを選んだひとつに、麻紐の爪とぎを上の方まで巻きたいというのがあります。
ダッシュくんは、テーブルの脚に巻いた麻紐の爪とぎが大好きなので、ターザンみたいに上まで登れるように近々施してみる予定です!
その後、ラブリコの柱に、麻紐ではなくロープを使って巻いてみました!
今回のキャットウォークDIYは、ショート動画にもしています。
【追記】
こちらのキャットウォークは猫たちのお気にいりスポットになったので、5ヶ月後に別の窓にも増設しました。
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猫ヘルパー/保護猫シェルターの運営を経て、飼い主がいない猫をレスキューするプラットフォーム「AHAHA」を運営。
猫歴27年、譲渡猫200匹、猫の相談500件
資格:キャットライフアドバイザー/猫との住まいアドバイザー/ペット共生住宅管理士/愛玩動物飼養管理士