猫同士が仲良くなれないときに|追いかけ・威嚇・粗相…多頭飼いのストレスを減らす方法


猫同士の関係がうまくいかない…その原因と対処法とは?

「先住猫が新入り猫にシャーシャー威嚇する」
「追いかけっこがエスカレートして、家具も気持ちもボロボロ…」
そんな多頭飼いの悩みを抱える方は、年々増えています。

猫は本来、単独生活を好む動物。

だからこそ、相性や関係性の築き方には少し工夫が必要です。

私自身、これまで2000頭以上の猫の問題改善に関わってきましたが、「最初はどうにもならなかった2匹が、今は一緒にお昼寝しています」という嬉しい報告も数多く受け取っています。

この記事では、そんな実例に基づいた猫同士の関係改善のヒントをお届けします。

ただし、この記事はあくまで一般的な傾向をまとめたもの。猫の性格や背景によっては、同じ対処法でも逆効果になることがあります。

後ほど詳しくご紹介しますが、もし迷いが出たときは個別に状況を伺う「猫の暮らし改善アドバイス」もご活用いただければと思います。

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「追いかけっこ」が止まらない理由は“退屈”かも

多頭飼いで最もよく聞くお悩みの一つが「追いかけっこが止まらない」です。

もちろん、猫同士で遊んでいるだけの場合もありますが、問題は“追われる側”がストレスを抱えているケース。

遊びとストレスの違いは、追いかけた後の様子に現れます。

お互いリラックスして過ごせているなら問題ありませんが、追われた猫が隠れて出てこない・ご飯を食べなくなるなどの変化があるなら、それは“関係の圧”です。

実際の事例でも、「階段の上下運動を取り入れた遊びを朝晩10分ずつ追加しただけで、先住猫の追いかけ行動がぴたりと止まった」という報告がありました。

猫は想像以上にエネルギーを持て余しています。

適度な遊びが“他の猫への八つ当たり”を防ぐ鍵になるのです。

威嚇・粗相…実は「不安」から来ているかもしれません

新入り猫が来た直後から、トイレ以外の場所での排泄や、執拗な毛づくろいが見られることがあります。

これはストレスのサイン。

新しい環境、相手への不安、自分の居場所が奪われたという感覚——すべてが原因になります。

こうしたトラブルには、「距離」と「安心できる拠点」の確保が欠かせません。

☑︎ 物理的に猫同士を分けて過ごす時間をつくる

☑︎ 見え隠れできる場所や、静かな高所を確保する

☑︎ トイレは多めに用意し、取り合いにならないよう場所も分散する

特にトイレの場所は重要です。

「よくいる部屋にない」「人通りが多い場所にしかない」など、猫にとってストレスになりやすい環境が隠れています。

爪とぎの位置も同様で、縄張りアピールを適切にできるようにすることが大切です。

「仲良くなる」には順番がある|関係を育てるステップ


猫同士の関係改善は、「慣れさせる」ものではなく、「時間をかけて育てていく」もの。

急がず、段階を踏んで信頼関係を築くことが、うまくいくための近道です。

おすすめのステップは、以下の3段階。

1. 見えるけれど触れられない距離で過ごす
 
まずはゲートなどを使い、物理的に接触を避けながら、お互いの存在に少しずつ慣れていくことから。

2. 同時にごはんを与えて「一緒=良いこと」の印象をつける

ゲート越しにごはんやおやつを与えることで、「相手がいると嬉しいことが起こる」という記憶を少しずつ育てます。

3. 遊びの時間を共有する

お互いに刺激を共有する“遊び”は、猫たちの距離を縮める大きなチャンスです。


この「一緒に遊ぶ」という時間は、猫同士の信頼関係を育てる上でとても大切な要素。

でも実は、「おもちゃに反応しない」「タイミングが合わない」といった理由で、ここでつまずく方もとても多いのです。

個別アドバイスでは、それぞれの猫に合った遊び方やおもちゃの動かし方もサポートしています。

「遊ばないから無理かも…」と感じていた猫たちが、数週間後には一緒に遊ぶようになった事例もたくさんあります。

大切なのは、「うまくいかない」ではなく、「やり方が合っていなかっただけ」かもしれないという視点。

不仲をあきらめる前に、少し視点を変えてみることも大切です。

こちらのブログも参考にしてみてください👇

「こうすればうまくいく」は猫によって違う

ここまでお伝えした内容は、実際の相談事例から見えてきた“傾向”ではありますが、すべての猫に当てはまるわけではありません。

たとえば、「猫の喧嘩は仲裁しない方がいい」とネットで見たことで、実際には止めるべき場面だったのに長期間放置してしまい、関係がこじれすぎてしまった…というご相談もありました。

反対に、見守っていても問題のない相性だったのに、飼い主さんが毎回声をかけてしまうことで、猫同士が距離を縮めるきっかけを失っていたケースも。

このように、「正しそうに見える一般論」がすべての状況にフィットするわけではないのです。

だからこそ、猫たちの性格やこれまでの経験、家の間取りや人との関係性まで含めて、丁寧にヒアリングした上でのアドバイスが必要になります。

私の個別アドバイスでは、飼い主さんの言葉に加えて、実際の猫たちの様子を動画で確認しながら状況を読み解き、「今のこの子たちに合った、無理のないステップ」を一緒に見つけていきます。

正解はいつも、猫の数だけあるからこそ。

「うちの場合はどうすればいい?」と感じたときは、ぜひ一度、気軽に相談してみてくださいね。

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まとめ|猫同士の関係は“焦らず・育てる”ことが大切

多頭飼いは、うまくいけばとても豊かで幸せな時間をもたらしてくれます。

でもそこに至るまでには、猫たちのストレスと人の不安が交差する時期が必ずあります。

焦らず、丁寧に、そして「この子たちならどう進めたらいいか」を一緒に考えていくことが、いちばんの近道です。

あなたと、あなたの猫たちが、お互いに安心して過ごせる関係を育てていけますように。