「新しい猫を迎えたいけれど、うちの子と相性が合うか不安…」
「多頭飼育に憧れるけれど、今いる子がストレスを感じないか心配…」
そんな思いを抱えていらっしゃる方、とても多いのではないでしょうか。
実は、多頭飼育でのトラブルは、私が受けるご相談の中で最も多い内容なのです。
このブログでは、2000頭以上の猫のトラブル改善に携わってきた経験から、多頭飼育を成功させるための具体的な方法をお伝えします。
これから新しく猫を迎えようとしている方はもちろん、現在トラブルを抱えている方にとっても、実践的な解決策となるはずです。
目次
まず知っておきたい、先住猫の本当の気持ち
SNSでよく見かける、仲良く寄り添う猫たちの姿。
実は、これはとても珍しいケースなんです。
猫は本来、単独行動が得意な動物。広いテリトリーを持って、基本的に一匹で過ごすことを好みます。
室内で暮らす猫たちの場合、自然界の猫と比べるとテリトリーがぐっと狭くなります。
そんな大切な空間に、ある日突然見知らぬ猫が入ってくるのですから、先住猫が戸惑うのは当然のことなんです。
先住猫の反応、実はとても自然なこと
新入り猫を迎えた時、先住猫が示す反応には主に2つのパターンがあります。どちらも、先住猫なりの精一杯の対処法なのです。
パターン1:威嚇や追い回しをする場合
「うちの子が急に乱暴になった…」そんな風に心配される飼い主さんも多いのですが、実は、これは先住猫からすると正常な防御行動。
大切な自分の空間と飼い主さんを奪ってくる相手から、必死に守ろうと頑張っています。
だから、この行動を「攻撃的」と決めつけるのではなく、「守りたい気持ちの表れ」として受け止めてあげることが大切です。
パターン2:おとなしく引っ込んでしまう場合
一見、「おとなしいから大丈夫かな?」と思えるこちらのパターン。実は、より注意が必要なケースかもしれません。
気の弱い先住猫の場合、新入り猫に対して戦わずに逃げ出すことを選びます。
すると、新入り猫の方が強気になってしまい、そのまま力関係が固定化してしまうことも。
先住猫は黙って耐え続け、目に見えないストレスを溜め込んでいってしまうのです。
このような状況が続くと、先住猫は体調を崩したり、トイレの問題を引き起こしたりすることも。
だからこそ、おとなしい子の場合は特に、先住猫の些細な変化にも気を配る必要があります。
先住猫に寄り添う、3つの大切なポイント
1. 安心できる空間づくり:先住猫の居場所を守る
新入り猫を迎える準備で真っ先に考えたいのが、先住猫の大切な空間を守ることです。
新入り猫の部屋は、先住猫があまり使っていない場所を選びましょう。
「でも、うちは部屋数が限られていて…」という方も多いかもしれません。その場合は、できるだけ先住猫の動線から外れた場所や、普段あまり使用していないスペースを活用しましょう。
先住猫の大切な場所を奪わないという配慮が、その後の関係づくりの土台となります。
新入り猫の部屋には、必ずケージも設置します。このケージは新入り猫の安全な空間となるだけでなく、両方の猫にとって適度な距離を保つための大切な道具になります。
2. ゆっくりな対面ステップ:先住猫のペースを第一に
新入り猫を迎えて一番やってはいけないことは、「早く仲良くなってほしい」という私たち人間の願いから、強引に対面させてしまうこと。
対面は必ず、ケージやゲート越しの段階から始めましょう。
この時、大切にしたいのは先住猫の反応です。
警戒している様子なら、その場で対面を中止してかまいません。
逆に、興味を示してくれたら、おやつをあげたり、普段から大好きな遊びをしたりしながら、新入り猫がいる時間を、先住猫にとって楽しい時間に変えていくのです。
「うちの子、全然近寄ってこなくて…」そんな時は、焦らずゆっくり待ちましょう。
数ヶ月かかることも珍しくありません。その時間は、決して無駄ではありません。
3. 変わらない愛情:先住猫との特別な時間を守る
新入り猫を迎えると、どうしてもその子のお世話に時間がかかります。
でも、ここで大切なのは、先住猫との大切な時間を絶対に削らないこと。
むしろ、新入り猫のケアに使う時間以上に、先住猫と過ごす時間を作るくらいの気持ちで接していきましょう。
例えば、新入り猫の世話は家族で分担し、先住猫との特別な時間を確保する。
一人暮らしの方なら、比較的時間に余裕のある時期を選んで新入り猫を迎える。そんな工夫も、とても大切です。
気長に待つからこそ、芽生える絆
新入り猫を迎えてから、先住猫が少しずつ変化を見せ始めるまでには、本当に時間がかかります。
でも、その間、確実に猫たちの中で変化は進んでいるのです。
最初は警戒していた先住猫が、ある日ケージの前でくつろぎ始める。新入り猫の匂いを嗅ぎに来るようになる。
そんな小さな変化の一つ一つが、これからの関係づくりの大切な一歩となっていきます。
先住猫の反応を見ながら、ゆっくりと新入り猫の行動範囲を広げていく。このプロセスに、決まった期間はありません。
それぞれの猫の性格や相性によって、必要な時間は変わってきます。
おわりに:みんなが幸せになれる多頭飼育を目指して
このブログでご紹介した方法を実践しながらも、「これで合っているのかな?」「次のステップに進むタイミングが難しい」と迷うことも多いかもしれません。そんな時は、一人で悩まずに専門家に相談してみることをおすすめします。
私の個別アドバイスでは、あなたのライフスタイルや室内環境、猫たちの性格に合わせて、超具体的なアドバイスをしています。
多頭飼育に向けた準備段階から、何年間もこじらせてしまったトラブルまで、さまざまなご依頼を受けていますので、気になる方はぜひ。
猫を幸せにするアドバイザーとして、飼育トラブル・室内環境・保護活動・商品やプロジェクトのアドバイスや監修を行っています。保護猫シェルターや、シェルターを持たない一時預かりプラットフォームの運営を経て、現在は「みんなで猫だすけ」アプリの開発・運営を行う。
資格:キャットライフアドバイザー/猫との住まいアドバイザー/ペット共生住宅管理士/犬猫行動アナリスト/愛玩動物飼養管理士2級 他