猫同士のケンカ、決着させるべき?室内飼いの正しい対処法

こんにちは、「猫を幸せにするアドバイザー」のえんです。

今回は、多くの飼い主さんが悩む「猫同士のケンカ問題」について詳しくお話ししていきます。

ネット上では「猫同士のケンカは決着をつけさせた方が良い」という情報をよく目にしますが、これは本当に正しいのでしょうか?

特に室内飼いの場合、この方法は逆効果になる可能性があります。

今回は、なぜ室内飼いの猫にはケンカの決着をつけさせるべきでないのか、そして喧嘩を防ぐためにできる対策について詳しく解説していきます。


猫のケンカに関する誤解:決着をつけさせることの危険性

「猫同士のケンカは決着をつけさせた方が良い」という情報は、ネット検索すると上位に表示されることが多いです。

しかし、この方法を室内飼いの猫に適用すると、深刻な問題を引き起こす可能性があります。

現に、ネットの情報を信じて、飼い猫のケンカや追い回し行動を猫同士に任せたことで、取り返しがつかないレベルで不仲になってしまったり、粗相・泌尿器系トラブル・過剰グルーミングなどのトラブルにまでなってしまった・・という駆け込み相談が急増しています。

猫同士の喧嘩:外猫と室内猫の違い

外猫の場合、テリトリーや餌場、メス猫の争いで、ケンカをしなければならないシーンもあります。

猫のケンカには暗黙のルールがあり、無駄な争いを避けるために、一度勝敗が決まれば再戦しない傾向があり、負けた猫は半永久的に優位の猫に様々なことを譲りながら過ごしていくことになります。

外猫の生活スタイル

一度のケンカの決着で、負けた猫はずっと相手の猫の存在に気を配りながら過ごしていくなんて、なんだが大変そうに思いますが、外猫のテリトリーは広い上に、相手猫を避ける方法や選択肢があります。

マーキングによるコミュニケーション
外猫は尿のマーキングで情報交換していて、事前に衝突を避けることができます。

迂回ルートの存在
自然環境や住宅街には様々な迂回ルートがあり、猫は相手を避けることができます。

移動の自由
負けた猫は、別のエリアに引っ越すこともできます。

なぜ室内飼いの猫にはケンカの決着をつけさせるべきでないのか?

しかし、室内猫は外猫と違い、テリトリーが極端に狭い上に、マーキングや迂回ルートを活用して避けることもできず、別のエリアへ引っ越す手段もありません。

狭い生活空間
テリトリーが限られているため、負けた猫は相手猫と毎日顔を合わせなければなりません。

逃げ場がない
負けても逃げ場がない室内猫は、そのストレスが、粗相や過剰グルーミングなど、新たなトラブルを招きます。

先住猫への影響
新入り猫に負けてしまった場合、先住猫のプライドが傷つき、生活が一変してしまう可能性があります。

安易にケンカの決着をつけるのではなく、ケンカをしなくて済む方法を、飼い主さんが工夫してあげてください。

猫同士の喧嘩を防ぐ5つの対策

では、室内飼いの猫同士の喧嘩を防ぐために、飼い主さんができることは何でしょうか?

以下に5つの効果的な対策をご紹介します。

1. 高い場所を作ってテリトリーを増やす

キャットタワーは多くの家庭にありますが、それだけでは不十分です。

横移動できる高い場所、いわゆる「キャットウォーク」を設置することで、猫のテリトリーを大幅に増やすことができます。

☑ 家具の上を猫の通り道にする
☑ 壁に棚を取り付けて、猫が歩けるようにする
☑ 市販のキャットウォークを設置する

これにより、床面積以外にも猫たちの活動スペースが増え、テリトリー争いを減らすことができます。

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2. 家具の配置で迂回ルートを作る

多くの場合、家具は壁際に寄せがちですが、これでは部屋の中央しか猫の通り道がないために、猫同士が鉢合わせしやすくなってしまいます。

以下のような工夫をしてみましょう。

☑ ソファーやシェルフを部屋の中央に配置する
☑ 姿を隠せるような、トンネルや箱、爪とぎなどを床に配置
☑ 家具は壁から少し離し、通り道を作る


これにより、猫たちが互いを避けやすくなりますが、相手の姿が見えないのに気配があることで、追い回しが激しくなってしまうことも・・

猫たちの様子を観察しながら、レイアウトを調整してみてください。

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3. みんなで楽しい時間を過ごす

猫たちだけにさせておけば、どうしてもバトルが起きやすくなります。

飼い主さんが間に入り、猫たちが一緒に楽しめる時間を積極的に作ることが重要です。

☑ おやつタイムを設ける
☑ 全ての猫が参加できる遊びを考える
☑ ごはんの時間を楽しいイベントにする

ただし、猫によって好みが異なる場合もあるので、個々の猫の性格や好みを考慮することが大切です。

最初はゲート越しに行うなど、段階的に慣れさせていくのもよいでしょう。

4. 飼い主さんと各猫、1対1の時間を作る

多頭飼いの場合、飼い主さんの愛情が分散されがちです。

飼い主さんと各猫と1対1の時間を作ることで、猫たちの安心感を高め、ストレスを軽減できます。

☑ 毎日少なくとも15~30分ずつ、各猫と遊ぶ時間を設ける
☑ ブラッシングやスキンシップの時間を作る

これにより、猫たちは飼い主さんとの絆を深め、他の猫に対する焼きもちも減少します。

5. 先住猫を優先する

新しい猫を迎え入れる際は、先住猫を優先することが重要です。

☑ 声をかける順番は先住猫から
☑ おやつやごはんなども先住猫から
☑ 先住猫との時間を多めに取る

また、新入り猫との対面は焦らず、数ヶ月かけてゆっくりと進めていくことが大切です。

遊びと喧嘩の見分け方

猫同士のプロレス行動や追い回しが、遊びなのか喧嘩なのか判断に迷うことも多いでしょう。

以下のポイントを参考にしてください。

喧嘩のサイン

☑ どちらかの猫が唸っている
☑ 大きな叫び声をあげている
☑ 毛を逆立てている
☑ 耳を後ろに倒している

これらのサインが見られたら、すぐに介入して猫たちを引き離すことが重要です。

遊びのサイン

☑ お互いに順番で追いかけっこをしている
☑ 噛んだり引っ掻いたりしても力加減がある
☑ 休憩を挟みながら遊んでいる
☑ 耳が前を向いている

どちらかがお腹を出してゴロン姿勢の場合も遊びのことが多いですが、お腹を出すのは降参のサインでもあるので、猫たちの関係性によって判断していきましょう。

また、遊びの場合でも側で見守り、ヒートアップするようなら声をかけて止めるようにします。

まとめ:猫同士の関係改善は飼い主次第

室内飼いの猫同士のケンカは、決して「決着をつけさせる」べきではありません。

代わりに、環境を整え、適切な介入をすることで、猫たちの関係を良好に保つことができます。

1. テリトリーを増やす工夫をする
2. 家具の配置で迂回ルートを作る
3. 全ての猫と楽しい時間を過ごす
4. 個別の時間を大切にする
5. 先住猫を優先する

これらの対策を実践することで、猫たちはストレスなく幸せに暮らすことができるでしょう。時間はかかるかもしれませんが、粘り強く取り組むことが大切です。

オンライン個別相談では、猫たちの状況を詳しくヒアリングし、バトルの様子を動画で拝見しながら、どのようなステップで不仲を改善できるかアドバイスしています。

今回の内容はショート動画でもご覧いただけます。