こんにちは、「猫を幸せにするアドバイザー」のえんです。
今回は、猫が苦手と感じる部屋の特徴と、それを簡単に改善する方法について解説します。
多くの飼い主さんは、自分たちにとって使いやすい部屋づくりを心がけています。しかし、それが猫にとっては必ずしも快適とは限りません。
猫の目線で部屋を見直すことで、驚くほど猫の行動が変わることがあるんです。
目次
猫が苦手な部屋とは?原因を探る
まず、猫が苦手と感じる部屋にはどんな特徴があるのでしょうか。
1. 広々とした空間
2. 家具が壁際に配置されている
3. 中央に何もない
4. 隠れる場所がない
これらの特徴は、人間にとっては整理整頓された清潔な印象を与えますが、猫にとっては全く異なる意味を持ちます。
猫の視点で見る部屋の問題点
猫の目線の高さは約30cmです。
この高さから部屋を見渡すと、広々とした空間は意外なほど緊張感のあるものに感じられます。
特に以下のような猫にとっては、このような空間はストレスの原因になりかねません
☑ 人慣れしていない猫
☑ 多頭飼育環境でいじめられがちな猫
☑ 新しい環境に慣れていない保護猫
これらの猫にとって、遮るものがない空間は非常に脆弱な状況に感じられるのです。
猫が快適に過ごせる部屋づくりのコツ
では、どのように部屋をアレンジすれば猫が快適に過ごせるのでしょうか。
以下に、簡単にできるレイアウト改善のポイントをご紹介します。
1. 中央にも家具を配置する
ソファやシェルフなどの家具を、あえて部屋の中央に配置してみましょう。
これにより、猫にとっての「パーテーション」の役割を果たし、安心して移動できる空間が生まれます。
詳しく読む
2. 30cm程度の高さのアイテムを散りばめる
猫の目線の高さである30cm程度のアイテムを、部屋のあちこちに配置します。
これにより、猫は身を隠しながら移動することができ、安心感が生まれます。
使えるアイテムの例:
☑ 段ボール箱
☑ クッション
☑ 猫用トンネル
3. 迂回ルートを作る
多頭飼育の場合、猫同士の予期せぬ鉢合わせを避けるために、迂回ルートを作ることが重要です。
中央に配置したアイテムが、この役割を果たします。
4. 好奇心を刺激する要素を取り入れる
完全室内飼育の猫にとって、家の中が世界のすべてです。
単調な環境は退屈の原因になります。
ちょっとした工夫で、猫の好奇心を刺激する環境を作りましょう。
実践例:保護猫預かりでの経験から
私自身、保護猫の預かりボランティアをしている中で、猫にとって快適な空間づくりの重要性を痛感した経験があります。
ここでは、その体験談をもとに、具体的な改善例をご紹介します。
ケーススタディ:ストレスによる異食症の猫
約4年前、5匹の保護猫を預かった際の出来事です。
その中の1匹が、環境の急激な変化によるストレスから異食症を発症してしまいました。
問題点
☑ 布やウール素材を食べてしまう
☑ マットレスやカーテンも食べる危険性がある
☑ 部屋から危険な素材をすべて撤去せざるを得なかった
最初のアプローチ
当初は、猫の安全を考えて部屋から危険な素材をすべて撤去し、ほとんど何もない状態にしていました。
しかし、これが逆効果だったのです。
専門家のアドバイス
行動診療科の先生に相談したところ、以下のようなアドバイスをいただきました。
1. ゆっくり食事ができるようにする(例:知育トイの使用)
2. 部屋の中央にキャットタワーを設置する
3. 噛んでも安全な素材のカゴやプラスチック製の箱を床に置く
改善トレーニング中に、異食症猫に詳しい方にお世話をお願いすることになったので(その後、その方に家族として迎えてもらいました)、この時点で効果のほどは分かりませんでした。
しかし、この時の経験をきっかけに猫の行動学を学び、今は自分が指導する側として空間づくりの重要性をクライアント猫さんを通して実感する日々です。
問題行動や猫のトラブルで悩んでいる方はこちら↓
簡単にできる部屋の改善ポイント
ここまでの内容を踏まえて、すぐに実践できる部屋の改善ポイントをまとめてみましょう。
1. 中央スペースの活用
部屋の中央にソファやシェルフを配置し、猫が身を隠せる空間を作る。
2. 低めのアイテム配置
30cm程度の高さのアイテム(箱、クッション、猫用トンネルなど)を部屋のあちこちに置く。
3. 視覚的な刺激の提供
単調にならないよう、猫の好奇心を刺激するアイテムを適度に配置する。
4. 高所の活用
可能であれば、キャットタワーや棚を設置し、猫が高所から部屋を見渡せるようにする。
これらの改善策は、一見すると人間にとっては「散らかっている」ように感じるかもしれません。しかし、猫の目線で考えると、これらのアイテムが重要な役割を果たしているのです。
猫の行動変化を観察しよう
環境を改善したら、猫の行動変化を注意深く観察してみましょう。
以下のような変化が見られれば、改善の効果が表れている証拠です。
☑ 部屋の中を積極的に探索するようになる
☑ ベッドの下やクローゼットに籠もる時間が減る
☑ リラックスした姿勢で過ごす時間が増える
☑ 多頭飼育の場合、猫同士のトラブルが減少する
まとめ:猫目線の部屋づくりで幸せな共生を
猫にとって快適な空間づくりは、決して難しいものではありません。
人間の都合だけでなく、猫の目線に立って部屋を見直すことが大切です。
簡単なレイアウト変更や、ちょっとしたアイテムの追加で、猫のストレスは大きく軽減されます。これにより、猫との幸せな共生がより深まることでしょう。
最後に、一つアドバイスをさせていただくとすれば、完璧を求めすぎないことです。少しずつ試行錯誤しながら、あなたの猫に最適な環境を見つけていってください。その過程自体が、猫との絆を深める素晴らしい機会になるはずです。
猫との暮らしがより幸せなものになりますように!
今日の内容はショート動画でもご覧いただけます↓
猫を幸せにするアドバイザーとして、飼育トラブル・室内環境・保護活動・商品やプロジェクトのアドバイスや監修を行っています。保護猫シェルターや、シェルターを持たない一時預かりプラットフォームの運営を経て、現在は「みんなで猫だすけ」アプリの開発・運営を行う。
資格:キャットライフアドバイザー/猫との住まいアドバイザー/ペット共生住宅管理士/犬猫行動アナリスト/愛玩動物飼養管理士2級 他