みなさん、こんにちは。「猫を幸せにするアドバイザー」のえんです。
今日は、最近話題になっている猫の人馴れ方法について、重要なお話をしたいと思います。
最近、革のグローブを使って猫を無理やり撫でつけて人馴れさせる方法を勧めているYouTube動画を真似する飼い主さんが増えているのですが、実はこの方法、多くの猫にとっては逆効果なんです。
今回は、なぜ革のグローブによる人馴れが問題なのか、そして本当に効果的な猫の人馴れ方法について詳しくお話ししていきます。
目次
革のグローブによる人馴れの問題点
猫に与えるストレス
革のグローブを使った人馴れ方法の最大の問題点は、猫に大きなストレスを与えてしまうことです。
わたしも実際に見てみたその動画では、猫を無理やり捕まえて押さえつけ、長時間撫で続けるシーンがありました。
猫がパニック状態になっている様子が痛々しかったです。首輪とリードをつけられた猫が、逃げ場を失って必死にもがいている姿は、本当に見ていられませんでした。
これは猫にとって恐怖体験になりかねません。
長期間の継続が必要
一時的に猫を怖がらせたとしても、早く人馴れする方法であれば、取り入れてみて良いケースもありでしょう。
しかし、革のグローブの方法は、毎日何時間も撫でる行為を、数週間にわたって続ける必要があるそうです。
これは、猫ばかりではなく飼い主さんにとっても大変な負担ですし、途中で心が折れて諦めてしまうと、猫にトラウマだけが残り、家庭内野良猫まっしぐらになってしまう可能性が高いです。
猫の個性を無視している
中にはこの方法でも人馴れするケースもあると思います。比較的人に慣れやすい性質の猫には有効なこともあると思います。
しかし、攻撃的な猫や、とても臆病な猫には、この方法はかえって悪影響を及ぼす可能性が高いのです。
健康上のリスク
長期間のストレスは、猫の健康に悪影響を与える可能性があります。
猫エイズを持っている猫の場合、症状が悪化する可能性がありますし、FIP(猫伝染性腹膜炎)など、ストレスが引き金となって発症する病気のリスクも高まります。
革のグローブ自体の問題
実は、私も何種類か革のグローブを購入して試してみましたが、その結果、以下のような問題点に気づきました。
サイズが大きすぎる
肩まで届くほど巨大なものが多く、猫を怖がらせてしまいます。
強い獣臭がする
通常の革製品とは比べものにならないほど強い臭いがあり、猫の敏感な嗅覚を刺激してしまいます。
これらの要因が、猫をさらに怖がらせたり攻撃的にさせたりする原因になっているのです。
優しく信頼関係を築く方法
では、どうすれば猫と良好な関係を築き、人馴れさせることができるのでしょうか?
以下に、私がおすすめする方法をご紹介します。
1.伸びる孫の手を使う
革のグローブの代わりに、私がおすすめするのは「伸びる孫の手」です。
これには以下のような利点があります。
長さ調節が可能
猫の人馴れ度に合わせて、適切な距離を保てます。
先端が小さい
猫同士のグルーミングに似た感触を与えられます。
母猫のような安心感
頭や顔周りなど、自分でグルーミングしにくい部分を撫でることで、母猫や仲間にグルーミングされているような安心感を与えられます。
詳しくはこちらもお読みください。
2.チャレンジゾーンを見極める
猫との関わり方には、3つのゾーンがあります
セーフティーゾーン
猫が余裕を持って対応できる範囲
チャレンジゾーン
少し頑張れば耐えられる範囲
パニックゾーン
猫が過度のストレスを感じる範囲
理想的なのは、チャレンジゾーンで関わることです。
猫がちょっと耳を倒したり、軽く警戒しつつも頑張って受け入れようとする程度が適切です。パニックゾーンに入らないよう注意しましょう。
3.楽しい時間を共有する
人馴れを焦らず、猫と楽しい時間を過ごすことが大切です。
以下のような方法を試してみてください
✔ おもちゃで一緒に遊ぶ
✔ おやつをあげる
✔ 伸びる孫の手で優しく撫でる
これらのコミュニケーションを通じて、少しずつ猫との距離を縮めていきましょう。
4.猫の個性を理解し尊重する
すべての猫に同じアプローチが通用するわけではありません。
あなたの猫の性格や好みをよく観察し、それに合わせたアプローチを心がけましょう。
5.時間をかける
信頼関係の構築には時間がかかります。
焦らず、猫のペースに合わせて少しずつ進めていきましょう。
日々の小さな変化を楽しみながら、長い目で見守ることが大切です。
6.専門家のアドバイスを受ける
どうしても人馴れが進まない場合は、保護猫活動に長けている方や、猫の行動学の専門家に相談するのも良いでしょう。
専門的な知識に基づいたアドバイスが得られるはずです。
私のところにも、革のグローブで関係性を悪化させ困っている飼い主さんから、多くの相談が舞い込んできています。
保護猫活動における人馴れの考え方
保護猫活動をされている方々にとって、猫の人馴れは重要な課題です。
里親さんを見つけるためには、ある程度の人馴れが必要だからです。
例のYoutube動画も、専門家の指導のもととある保護団体で行われている内容でしたし、革のグローブを使用する方法も、時と場合によっては選択肢の一つになり得ます。
経験豊富な方が、個々の猫の性格を見極めた上で適用するのであれば、効果が期待できる場合もあるでしょう。
ただし、一般家庭での飼育では、やはりおすすめできません。多くの飼い主さんは、猫のパニック状態に耐えられず、途中で諦めてしまう可能性が高いからです。そうなると、かえって猫との関係を悪化させてしまう恐れがあります。
私自身、これまでの保護活動の中でさまざまな方法を試してきました。
タオルで猫を包んで強制的に撫でるなど、今から思えば反省すべき方法も多々ありました。
確かに、それで上手くいく猫もいましたが、多くの猫にとってはストレスが大きすぎましたし、結局のところ、猫との信頼関係を築くには、優しさと忍耐が不可欠だと痛感しました。
猫との幸せな関係づくりのために
猫との関係づくりは、一朝一夕にはいきません。しかし、焦って強引な方法を取るよりも、猫のペースに合わせてゆっくりと信頼関係を築いていく方が、長い目で見れば効果的です。
革のグローブによる人馴れは、確かに一部の猫には効果があるかもしれません。しかし、多くの猫にとっては大きなストレスとなり、逆効果になる可能性が高いのです。
代わりに、伸びる孫の手を使ったり、おもちゃで遊んだり、おやつをあげたりしながら、楽しい時間を共有することをおすすめします。猫の個性を尊重し、チャレンジゾーンを見極めながら、少しずつ距離を縮めていきましょう。
そして何より大切なのは、愛情を持って猫と接することです。猫は私たちの気持ちを敏感に感じ取ります。優しさと忍耐を持って接すれば、必ず猫も心を開いてくれるはずです。
最後に、もし人馴れに悩んでいる方がいらっしゃいましたら、一人で抱え込まず、「オンライン個別アドバイス」にご相談ください。一緒に、愛猫との幸せな関係づくりを目指しましょう。
みなさんの猫ライフが、より幸せなものになることを心から願っています。今日お話ししたことが、少しでもみなさんのお役に立てば幸いです。
これからも、猫と人間がより良い関係を築けるよう、さまざまな情報やアドバイスを発信していきますので、ぜひ楽しみにしていてくださいね。
今日の内容は、10分の音声配信でもお聴きいただけます。
猫と遊ぶ時間にでもぜひ聴いてみてね!
猫を幸せにするアドバイザーとして、飼育トラブル・室内環境・保護活動・商品やプロジェクトのアドバイスや監修を行っています。保護猫シェルターや、シェルターを持たない一時預かりプラットフォームの運営を経て、現在は「みんなで猫だすけ」アプリの開発・運営を行う。
資格:キャットライフアドバイザー/猫との住まいアドバイザー/ペット共生住宅管理士/犬猫行動アナリスト/愛玩動物飼養管理士2級 他