野良猫問題を解決するための3つの視点と「AHAHA」が目指している場所

猫の一時預かりボランティアさんと、保護場所を探している方をつなぐプラットフォーム「AHAHA」。

なぜ「AHAHA」を立ち上げたかについて、野良猫のことや猫の殺処分問題についても交えながら、どなたにも分かりやすいようにお話していきたいと思います。


日本では、行政によって多くの猫が殺処分されています。
環境省の統計によると、年々その数は減ってはきているものの平成30年度は30,757匹もの猫が殺処分されました。

この悲しい現実に多くの方が胸を痛め、「殺処分ゼロ」を目標に多くの保護団体や個人の方々が血がにじむ努力を続けています。

しかし、「殺処分ゼロ」はゴールではなく、通過点の一つとして捉えた方のが良いと私は考えています。

理由は2つあります。

殺処分ゼロの裏で民間へのしわ寄せ


一つ目の理由は、行政による殺処分数が減っている裏では、民間の保護団体や個人で保護活動をしている方へシワ寄せがいっているということ。

10年前の平成20年度の猫の殺処分数は、193,748匹。10年で約19万匹から3万匹に減っているということは、引取り拒否や譲渡など行政による様々な努力もありますが、殺処分されそうな猫を行政から必死に引き取ってきた、保護活動をしている民間団体や個人の方の努力があってこその数字です。

行政から民間へ猫が大移動している状況だと言えます。
移動先が分散されていればまだ良いのですが、保護活動をする人は限定的であるため、一部に集中してしまっています。

殺処分対象であったということは、譲渡されにくい傾向にあった猫だと考えられますし、譲渡が進まなければ保護スペースは空きません。

収容のキャパを超え、結局は猫にとってあまり良くない環境で長期間保護されてしまう・・・という結果を招いてしまっています。

猫の多くは野良猫として捨てられている


二つ目の理由は、飼い猫を手放すときに行政(保健所や動物愛護センター)へ連れていかない飼い主が多いということ。

動物愛護法が改正され、行政は所有者からの犬猫の引取りを拒否でき、有料化されたこともあり、わざわざ行政には連れていかずに外に離し野良化させてしまうのです。

保健所に連れていかれるよりも野良として外に放した方のが、最悪の殺処分は免れるのではないか・・・と考える方がいるかもしれませんが、家猫として暮らしていた猫が突然外に放たれても、恐らく長くは生きていけません。

一握りのラッキーな猫は餌やりさんによりご飯や飲み水を確保できたとしてもその暮らしは過酷で、感染症や事故、人間による虐待など常に危険と隣り合わせ。現に野良猫の平均寿命は3才ほどと非常に短いのです。

また、捨てられた猫が不妊手術を受けていなかった場合、ネズミ算式に不幸な猫は増え続けてしまいます。

環境省が発表している「犬猫の引き取りと処分」の数字に載ることがない不幸な猫が多くいることは、野良猫の保護活動をしている者だけが知っている事実で、保護した猫が元々飼われていたとしか思えないほど人馴れしているケースや、 飼い猫であったことが明らかである不妊治療以外の手術の跡が見つかるケースは非常に多く、ここでもやはり「殺処分ゼロ」が達成されたとしても、不幸な猫が減ることはない、ということが言えます。


では、「殺処分ゼロ」を目標やゴールではなく通過点として捉え、数字には載らない飼い主不在の猫たちも含め、不幸な猫たちをどうしたら減らすことができるのでしょうか。

大きく3つに分けて考えたいと思います。

A:新たな猫を増やさないこと。

B: 飼い主がいる猫が飼育放棄されないこと。(ネグレクト・虐待含む)

C: 野良猫を減らすこと。

A:新たな猫を増やさないこと。


野良猫や殺処分問題では頻繁に「蛇口を閉める」という話がされています。

年間3万匹もの猫が処分されているというのに、ブリーダーや繁殖業者の元で沢山の猫が不自然に繁殖され、ペットショップなどの生体販売業者では、血統書付きの猫たちが驚くほどの高値で売られているという矛盾が生じています。

先進国の多くは、ペットショップというものが存在していませんが、動物後進国の日本では、猫の繁殖も販売も届け出さえすれば誰でもできる登録制のため、金儲けのために猫を過剰に繁殖し、命を売買する業者が後を絶ちません。

現行の登録制から免許制の導入、ブリーダーによる繁殖回数や飼育設備の規制などの法改正が必要になってきますが、動物愛護法改正は5年に1度であることに加え、法改正がなかなかされない闇(詳しく知りたい方は、太田匡彦『犬を殺すのは誰か ペット流通の闇』)もあって、一番肝心な蛇口がなかなか閉まらないのが現実。

しかし、公益財団法人動物環境・福祉協会Evaをはじめ、法律や制度を変えることに力を注いでいる団体もありますので、署名活動に参加したり、ペットショップを利用しないなど、例え小さな行動でも私たちに出来ることを続けていくことで変わることもあると思います。


B: 飼い主がいる猫が飼育放棄されないこと。(ネグレクト・虐待含む)


人間のモラルの改善が一番難しいのかもしれません。
犯罪が悪であり、罰せられることが分かっているのに減らないのと同じで、動物愛護法が改正して「蛇口が閉まり」、「殺処分ゼロ」が達成されたとしても、ネグレクトや飼育放棄の数は減るどころか、核家族化・高齢化・ストレス社会などの影響で増える可能性もあります。

ただ、安易な飼育をさせないことで、安易に飼育放棄をしてしまう数を減らすことはできそうです。

多くのペットショップでは、飼育環境や家族構成やライフスタイルなどを聞くこともせず、猫を飼育する上で必要な情報(猫の習性、考えられる粗相や病気、寿命、費用など)を伝えることもせず、小さくて可愛らしい子猫の時期に抱っこ商法で販売するため、安易に購入した飼い主が、ちょっとした事情で安易に飼育放棄してしまう傾向にあります。

保護猫の譲渡条件が厳しすぎるとはよく言われることですが、 大切なひとつの命を家族に迎え入れるからには、人間や飼育環境などの適性判断は不可欠です。

また、高齢の一人暮らしの方が他界したことで飼い猫が路頭に迷うケースや、可哀そうだからとたくさん保護しているうちに多頭飼育崩壊になるケースなど、社会問題化していますが、問題が発生する前に、地域コミュニティーや福祉的なサポートが介在できるような仕組み作りも必要です。

C:野良猫を減らすこと。


野良猫が減らない理由に、猫の繁殖率の高さがあります。
まずはTNR(猫を捕獲し不妊手術を施したら、元いた場所に戻し一世代限りの命として地域で見守る)を早めに行い、可能な限り保護して人間の新しい家族(里親さん)を見つけてあげる必要があります。

猫を保護して里親さんを見つけるまでに、医療ケア・日々のご飯などの費用がかかるため、多くの団体は寄付を募り活動を続けていますが、日本はボランティアや寄付が浸透していないため大きな活動には発展せず、どの団体もすぐにキャパがいっぱいになってしまいます。また、前述のとおりキャパオーバーの環境ではお世話も行き届かず猫にとっても良くありません。

保護場所が分散され、各家庭で1~2匹の猫を保護する個人の方が増えれば、金銭・お世話の負担や、人間・猫どちらのストレスも分散することができます。

一部の特殊な場所や人に大きな負担をかけるのではなく、できるだけ沢山の人で助け合いながら苦労を分散しシェアする方が良いですよね。

「ペットロスでまだ次の猫を迎える気持ちにならないけれど、猫のお世話スキルや愛情を充分に持っている方」や、「ペット可住居に住んでいるが何らかの理由で飼い猫を迎える時期では無い方」や、「既に猫と暮らしているけれど、あと1~2匹なら保護できる」という方など、一時預かりボランティアとして活躍する方が増えることで、多くの猫が救われます。

また、助けてあげたい野良猫に出会ってしまった時、自力で誰もが助けてあげられるような、情報やサポートが整っているといいですよね。

このように、猫にとっての受け皿やセーフティーネットが存在しない日本で、不幸な猫をこれ以上不増やさないためには、新たに誕生する命を増やさない(A)、 現在幸せに暮らしている猫が人間の都合で転落しないようにサポート(B) 、野良猫を保護する(C)、といった3つの観点からアプローチしていくことが大切で、AHAHAは主に「C」の野良猫の保護にフォーカスし、たくさんの方が参加できるようなプラットフォームを目指して作りました。

今、わが家には2匹の飼い猫と、里親募集中の猫が4匹(1匹はトライアル中)がいます。里親募集中の4匹の猫は、飼い主の独居のおばあさんが亡くなったことで親族によって外に放り出されてしまいました。

犬と違い散歩がいらない猫の飼い主は、ご近所さん同士のネットワークやコミュニティを作りづらく、 こういったケースが事前に表面化しづらいのです。


そこで、猫の飼い主さんのための地域ネットワークやコミュニティ形成に、キャットシッターが介在できないだろうかと考え、川崎の一部エリアにてAHAHAキャットシッターを試験的にスタートすることになりました。

キャットシッター歴10年のことねこさんの元でお世話になりながら、「B」の地域サポートの面からもアプローチできることはないか試行錯誤していきます。

「猫の一時預かりボランティア」と「野良猫の保護の仕方」について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

猫の一時預かりボランティア
野良猫の保護の仕方